長野県長野市に本社を置く老舗タクシー会社「桜観光タクシー株式会社」が、11月20日付で長野地方裁判所から破産手続きの開始決定を受け、倒産したことが明らかになった。
1962年創業の同社は、地域密着型のサービスを展開し、観光地としての長野を支える存在だった。最盛期の1999年には売上高約7億円を記録し、長年にわたり地元で高い評価を得ていたが、厳しい市場環境を前に苦境に立たされた。
桜観光タクシーはここ数年、タクシー業界の競争激化により売上が低迷し、コロナ禍では観光需要の激減による影響も重なった。さらに、燃料費の高騰と深刻な人材不足が追い打ちをかけ、経営は悪化の一途を辿った。こうした状況下、資金繰りが行き詰まり、やむなく破産申請に至った模様だ。負債総額は約6億5000万円に上る見通しで、再建への道のりが閉ざされた形となった。
インターネット上では、桜観光タクシーの破産に対し、「観光地で頼りにしていた会社がなくなるのは残念」「運転手の方々の温かい接客が印象に残っている」といった惜しむ声が多く寄せられた。一方で、「サービスが昔ほど良くなく、経営も厳しい様子が伝わっていた」との指摘もあり、業績不振の影響が利用者の間でも感じられていたことがうかがえる。
なお、同社の事業は同業の「長野観光自動車株式会社」に引き継がれる見通しで、従業員の雇用も維持される予定。新体制のもと、地域の交通インフラをどのように支えていくのか注目される。 #長野県 #長野市 #倒産