米国の自動車大手フォード・モーターは、2027年末までに欧州で約4000人の従業員を削減すると発表した。電気自動車(EV)分野での積極投資が伸び悩む需要と経済環境の変化で裏目に出た格好だ。リストラの中心はドイツとイギリスで、特にドイツでは政府のEV購入補助金が廃止される影響が重くのしかかっている。
フォードは、今後の成長が見込まれるEV市場にいち早く対応するため、数年前から数億ドル規模の資金を投入。ドイツのケルン工場を中核に据え、イギリスでもEV生産体制を強化してきた。しかし、補助金の打ち切りや経済の停滞によって欧州市場での需要は急激に冷え込み、同社の業績を圧迫する要因となった。
ドイツではEV普及を進めるために設けられていた補助金が、2025年までに段階的に廃止される見込みで、これにより消費者の購買意欲が一気に減退。また、イギリスではインフレやエネルギー価格の高騰が続き、EVを含む新車市場は冷え込んでいる。フォードにとっては予想以上の逆風が吹き荒れる状況だ。
フォードは声明で「収益性の改善と持続可能な経営を確保するための困難な決断」と述べているが、各国の労働組合からの反発も予想される。電動化に向けた過剰な設備投資が今、同社の財務体質を圧迫し、欧州事業の見直しを迫る形となった。 #米国 #自動車