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東証上場の日本電解、民事再生手続き開始 米国子会社の解散と清算も決定 負債約147億6,100万円

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2024年11月27日、日本電解株式会社(東証グロース上場、コード番号5759)は、取締役会で民事再生手続きの申立てを決議し、東京地方裁判所に申し立てを行ったことを発表した。裁判所は同日、申立てを受理し、弁済禁止や監督命令を発令。また、同裁判所により、小畑英一弁護士(TF法律事務所)が監督委員に任命された。これにより、同社は再生に向けての一歩を踏み出したものの、債権者や取引先、株主に対しては多大な迷惑をかけたことを謝罪し、今後の事業再建に全力を尽くすと表明した。

日本電解は、2021年3月期まで売上高を順調に伸ばし、特に電気自動車市場の拡大に伴い、好調な業績を記録していた。しかし、世界的な半導体不足や米国インフレ抑制法(IRA法)の影響、さらにはスマートフォン需要の減少やコロナ禍による打撃が重なり、同社の経営は悪化。2023年3月期には、売上高が約170億円にまで減少し、約18億円の経常損失を計上するに至った。2024年3月期も経営は改善されず、連結経常損失は約13億円に達し、事業継続に支障をきたす事態に追い込まれていた。

項目詳細
会社名日本電解株式会社
代表者名代表取締役社長 CEO 中島 英雅
上場情報東証グロース (コード番号:5759)
負債総額約14,761,060千円
民事再生手続開始の申立て日2024年11月27日
民事再生手続開始の申立て理由・半導体不足や競争環境の激化、DAIの赤字などにより業績悪化・DAIの経営悪化と支援不足・事業継続困難により再生手続を申立て
今後の見通し・裁判所及び監督委員の監督下で事業継続・スポンサー探索及び事業再建・資金繰りに対する対策として三井住友銀行から20億円の融資枠
負債状況・120億円の借入れがあり、返済見込みが立たず・DAIへの支援が困難
株主総会について2024年11月29日に予定していた臨時株主総会を中止
DAIの解散及び清算・2021年3月期以降赤字が続き、資金支援が困難・DAIの解散及び清算決定
DAIの概要・名称:Denkai America Inc.・事業内容:電解銅箔製造・資本金:3,067千米ドル・日本電解株式会社100%出資・所在地:アメリカ・ニューヨーク
DAIの最近3年間の業績2022年3月期:売上高46,947千米ドル、営業損失756千米ドル2023年3月期:売上高34,093千米ドル、営業損失9,227千米ドル2024年3月期:売上高23,095千米ドル、営業損失6,068千米ドル
会社の現況・設立日:2016年6月17日・本店所在地:茨城県筑西市・事業内容:電解銅箔の製造・販売・資本金:約23億円
株主構成・テックス・テクノロジー株式会社:28.89%・楽天証券株式会社:1.94%・INTERACTIVE BROKERS LLC:1.23% 等
直近3年間の連結経営成績2022年3月期:売上高205億円、営業利益10億円2023年3月期:売上高170億円、経常損失18億円2024年3月期:売上高166億円、経常損失13億円
1株当たりの純資産2022年3月期:793.85円2023年3月期:822.97円2024年3月期:743.10円

このような状況において、日本電解は資金調達やスポンサー探しなどの再建策を講じたが、十分な改善策には至らず、再建のためには民事再生手続きの申立てが不可欠との判断に至った。負債総額は約147億円に上り、今後は事業を継続しつつスポンサー探しを進める方針だ。

さらに、日本電解は同日の取締役会で、米国の子会社であるDenkai America Inc.(DAI)の解散と清算を決定した。DAIは、2021年3月期以降赤字が続いており、日本電解からの支援が困難な状況となっていた。解散後、DAIに対する貸付金やその他の債権の回収は難しく、これに伴い日本電解は大きな特別損失を計上する見込みである。

なお、日本電解は、民事再生手続きに伴い、予定されていた臨時株主総会を中止することも決議した。再生計画に関する審査は行わない方針であり、株式は最終的に上場廃止となる可能性が高い。

再建に向けた道のりは険しいが、日本電解は今後、裁判所の監督の下で、事業の再建に取り組んでいく方針だ。 #民事再生 #上場倒産

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