長野県長野市戸隠で400年近くにわたり親しまれてきた信州そばの老舗「大久保西の茶屋」が、2024年9月2日をもって事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。年越しそばの名店として知られ、毎年年末には多くの参拝者や観光客で賑わいを見せていたが、その伝統の幕が閉じられることとなる。
大久保西の茶屋は1624年(寛永元年)創業。江戸時代から続く歴史を誇り、信州そばの名店として知られていた。特に戸隠神社への参拝客に親しまれ、年越しそばのシーズンには行列が絶えなかった。地元の住民のみならず、全国各地から訪れる観光客の胃袋を満たしてきた名店だった。
しかし、ここ数年の観光客減少や原材料費の高騰が経営を圧迫。さらに、新型コロナウイルスの影響による来店客の大幅減少が追い打ちをかけた。店舗は営業再開後も客足が戻らず、資金繰りの悪化から事業継続が困難となった。
地元商工会によれば、「大久保西の茶屋の破産は地域経済にも大きな影響を与える」との声が上がる。戸隠エリアでは、大久保西の茶屋が観光の目玉となっており、周辺の飲食店や土産物店も恩恵を受けていたためである。
また、年末の年越しそばを楽しみにしていたファンにとっても、大きな痛手となる。毎年、同店のそばを求めて長蛇の列ができていたが、今年の年越しそばは幻となる。「あの味を年末に食べられないのは寂しい」と惜しむ声がSNS上でも相次いでいる。
老舗の破産は、コロナ禍以降の厳しい飲食業界の現状を象徴している。特に伝統を重んじるそば店では、設備投資や人件費の増大に耐え切れず、閉店を余儀なくされるケースが相次いでいる。戸隠エリアでも他の老舗そば店が次々と事業縮小や撤退を検討している状況だ。
地域振興策が急務とされる中、戸隠そばの文化を守る取り組みが求められている。自治体では地元飲食店の支援策を模索しており、クラウドファンディングなどを通じた資金調達の仕組みが検討されているという。
一方で、「伝統の味は後継者によって受け継がれるべき」との声も根強く、地元では同店の味を再現する取り組みを始める動きも見られる。400年の歴史が完全に途絶えることなく、新たな形での存続が望まれている。
年越しそばとともに、地域の人々の心に刻まれた「大久保西の茶屋」の灯は消えても、その味と伝統が語り継がれることを願うばかりだ。 #蕎麦 #破産
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