影絵専門の劇団として長年活動してきた有限会社劇団かかし座(神奈川県横浜市)が、4月16日付で横浜地方裁判所より破産手続開始決定を受けたことが明らかになった。1952年に創設、1959年に法人化された同社は、日本初の影絵専門劇団として国内外で高い評価を受けていたが、近年は公演機会の減少や収益構造の悪化により、経営を維持することが困難となっていた。
同社は、舞台芸術の一分野である影絵の制作と上演を主軸に、学校・公共施設向けの巡回公演やイベント出演など幅広く活動。特に、道具を使わず両手だけで動物や人物などを表現する「手影絵」パフォーマンスは、テレビや舞台でもたびたび取り上げられ、日本の芸能文化の一角を担う存在であった。
しかし、長引く景気低迷に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大によって公演の中止や延期が相次ぎ、業績が急速に悪化。主な収入源であった公演収入が失われたことにより、固定費の圧迫を受け資金繰りが限界に達した。関係者によれば、早期から経営再建を模索していたものの、公的支援や文化事業の助成にも限界があり、最終的に自力での再建を断念せざるを得なかったという。
今後は破産管財人のもとで財産調査および債権者への対応が進められる予定で、現時点での負債総額は約3億円にのぼる見通し。 #神奈川県 #横浜市 #倒産