「売るほどコメがある」発言で大臣釈明 政権に波紋、首相も陳謝 江藤農相に不信任論相次ぐ

コメの価格高騰に揺れる最中、農政の要である江藤拓農林水産大臣の発言が波紋を呼んでいる。江藤大臣は18日、佐賀市で行った講演で「私はコメを買ったことはありません。支援者からたくさんいただくので売るほどある」と発言。米価の高止まりに苦しむ国民感情との乖離が指摘され、政権内部や野党から一斉に批判が噴出した。

江藤氏は19日になって「定期的にコメを買っている」と釈明。「言い方が実態と異なっていた。大変遺憾だ」として、発言を撤回・修正する意向を示した。

首相も謝罪「任命権者として深くお詫び」

事態を重く見た石破茂総理大臣は同日午後、記者団の前で「江藤大臣の発言は消費者にも生産者にも不適切であり、任命権者として深くお詫び申し上げたい」と陳謝した。江藤氏から事情聴取したうえで「職務に全力であたるよう厳しく指導した」と説明。「価格が高騰する中で不安に思っている国民感情を直視すべきだ」と強調した。

一方、同日夕に開かれた自民党役員会では、発言の重大性を指摘する声が相次ぎ、党幹部からも「今後の政権運営への影響を注視する」との見方が示された。

「買ったことない」は誤り 発言撤回へ

江藤氏は講演で、政府が放出を進めている備蓄米について説明する中、「玄米のままでも消費者に使っていただきたい」という趣旨で発言したと釈明。参院決算委員会でも「実際には近所のスーパーで先週も購入しており、『買ったことがない』は不正確だった」と述べ、全面的に撤回した。

また、「いただいたコメの中に黒い石が混じっていた」と述べた件についても「不快に思われた生産者がいればお詫びしたい」と陳謝。「支援者の厚意を紹介する意図だった」としたが、発言は裏目に出た形だ。

野党側は「不信任に値する」と反発

立憲民主党の小川淳也幹事長は「不適切で不見識、看過できない」と厳しく批判し、「不信任決議案も選択肢として排除できない」と明言。共産党の小池晃書記局長も「庶民の暮らしに無理解な発言で、農水大臣にふさわしくない。即刻辞任すべき」と切り捨てた。

日本維新の会の前原誠司共同代表も「消費者に寄り添っていない本音が出た発言。結果責任が問われる」と述べ、「妄言」とも形容。公明党や国民民主党も「発言には注意すべきだった」と苦言を呈しつつも、進退には言及を避けた。

法的リスクにも波及か 「違法寄附」指摘も

発言を受け、一部では「支援者からのコメの提供」が政治資金規正法に抵触する可能性も取り沙汰されている。これについて林官房長官は「個別事案についてはコメントを差し控える」としつつ、「消費者の実情を踏まえ、備蓄米が店頭に行き渡るよう緊張感をもって取り組んでほしい」と注文を付けた。

なお、選挙区内の有権者からの物品提供は公職選挙法上も慎重な運用が求められており、今後の国会審議で改めて焦点となる可能性もある。

なお続く米価高 対応遅れの空しさ

政府はこれまで3回にわたり計31万トンの備蓄米を放出してきたが、全国平均の小売価格は依然として前年の約2倍の水準にある。消費者の財布を直撃し続ける米価上昇に対して、「大臣の発言がさらなる不信を招いた」(流通関係者)との声も漏れる。

江藤氏は「供給を増やしても価格は下がらない」と語り、構造的な問題の複雑さをにじませたが、説明責任と感覚のズレを埋める努力が問われている。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

アーカイブ