和食レストランなどを展開する梅の花グループ(東証スタンダード、7604)は12日、2025年4月期の通期連結業績予想を大幅に下方修正すると発表した。売上高は当初見通しの302億5000万円から294億4000万円へと減額され、営業利益・経常利益ともに大幅な減少に転じた。とりわけ注目されるのは純利益で、前回予想の4億2000万円の黒字から一転、3億8300万円の赤字を見込むなど、経営環境の悪化が如実に表れたかたちだ。
この修正により、1株当たり当期純利益は従来の「39円15銭」から「▲43円59銭」へと反転、投資家に対しても無視できないインパクトを与える見通しとなっている。
台風・天候不順・営業制約の三重苦
業績悪化の主因として、同社は自然災害および販促機会の減少を挙げる。2024年度中の台風による臨時休業や営業時間短縮、さらには一部出店先の休業などにより、想定していた来客数を大きく下回った。
さらに、恵方巻や雛祭り向けの催事商品に関しても、「曜日周り」が悪化要因となったと分析。加えて、外販事業では大口取引先からの受注失注が響き、売上高は前年実績の298億1600万円すら割り込む294億4000万円へと落ち込む見込みとなった。
コスト増とDX費用の「二重負担」
コスト面では、飲食業界共通の苦境がそのまま業績に反映された。店舗およびセントラルキッチンにおける米や副原料、包装資材の価格上昇に加え、水道光熱費や物流費などの固定費も上昇傾向を見せており、収益圧迫の構図が浮き彫りとなっている。
また、同社が進めているDX(デジタルトランスフォーメーション)施策も、導入初期段階においては旧システムとの併用運用が発生しており、短期的にはコストの“二重計上”となったことで、営業利益は従来予想の9億600万円から5億5000万円へと約40%減少する見通しだ。
特別損失が追い打ち 経常・純利益も軒並み悪化
加えて、2024年度に実施した公募増資にかかる新株発行費用、臨時株主総会の開催費用が営業外費用として計上されたことに加え、事業再編にともなう店舗閉鎖や減損処理により、特別損失としての負担も生じた。法人税等の調整額も膨らむ見込みで、経常利益は7億2700万円から3億8800万円へ、純損益は黒字予想から一転して赤字へと転落する形となる。
株主・市場の信頼回復が課題
今期業績の下方修正は、2024年4月期における当期純利益10億2000万円と比べても、著しい悪化といえる。同社は「複数の外部要因が同時に発生したことによる一時的な影響」と位置づけているものの、市場からは持続的な収益構造の強化とコスト抑制策の明示が求められる局面にある。
今後、店舗運営の見直しやセントラルキッチンの再編、さらにはDXによる業務効率化の早期実現が問われることとなる。梅の花グループは「手づくりの和食文化」を掲げる老舗企業として、食の安全・安心とともに、財務基盤の安定も確保できるのかが焦点となる。