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アライドアーキテクツ、再建の年も赤字拡大 構造改革・海外子会社清算で特損重く 2025年度は営業黒字見込むも先行きなお不透明

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マーケティングDX支援を手がけるアライドアーキテクツ株式会社(東証:6081)は6月13日、2024年12月期(2024年1月~12月)の連結決算を発表した。国内事業の回復傾向がみられたものの、海外子会社の清算や不適切会計処理に伴う一時費用が響き、最終損益は過去最大規模の赤字となった。

売上高は前期比14.6%減の34億6,371万円、営業損失は4億5,982万円(前期は1億4,660万円の黒字)、経常損失は3億8,684万円(同2億747万円の黒字)、最終赤字(親会社株主に帰属)は5億1,629万円(同2億4,896万円の赤字)と、すべての段階で悪化した。

特に注目されるのは、クロスバウンド事業(旧:中国進出支援)において発覚した不適切会計への対応費用に加え、シンガポール子会社SuperFaction Pte. Ltd.の解散決定に伴う損失計上である。これにより特別損失が7,457万円に上り、赤字幅を拡大させた。

国内は構造改革進むも、海外事業が足を引っ張る

同社は2024年を「国内3事業の加速と海外事業の再構築の年」と位置づけ、旧SaaS型プロダクト事業とソリューション事業の統合に踏み切った。これにより主力製品「Letro」シリーズの展開を軸に、業務の効率化と提供価値の向上を図った結果、第4四半期には国内売上が回復基調に転じた。

実際、国内事業の売上高は25億2,845万円と全体の7割超を占める主力事業となり、前期比では11.2%の減収ながら、事業統合効果により営業損益も改善傾向を示した。

一方、クロスバウンド事業は「RED(小紅書)」等を活用した中国インバウンドプロモーションに支えられ売上は4億4,882万円(前年同期比85.5%増)と急伸したが、不適切会計の影響で事業部門自体が解散。結果的に一時費用が重荷となった。

海外SaaS事業に関しては、ゲーム業界を主力とするシンガポール子会社SuperFactionの業績悪化が深刻で、広告需要の縮小やターゲティング精度低下の影響を受け、売上高は4億8,643万円と前期比49.9%の大幅減。収益改善の見込みが立たないとして清算が決定された。

財務は慎重経営に回帰 長期借入金で手元流動性確保

総資産は前期末比で1.2億円増の40.8億円。手元資金は1.9億円と前年から9562万円増加した。営業キャッシュフローは約1億円のマイナスであったが、財務キャッシュフローでは3.1億円の黒字を確保。長期借入金を5億円調達することで資金繰りの安定を優先したかたちだ。

一方で、純資産は25.3億円と前年から3.8億円減少。自己資本比率も70.6%から58.2%に低下しており、今後の成長投資には一層の財務健全化が求められる。

来期は黒字転換を目指すが、純利益見通しは未開示

2025年12月期の通期予想については、売上高25億円(前期比27.8%減)、営業利益および経常利益はそれぞれ5,000万円と黒字転換を見込んでいる。構造改革の定着と国内事業の収益力強化が背景だ。

ただし、親会社株主に帰属する最終損益については「特別損益の不確定要素が大きい」として未定とした。クロスバウンド事業の清算余波や、企業結合後の統合プロセスが見通しの不透明さを際立たせている。

社長コメント「国内事業を軸に再建進める」

代表取締役会長の田中裕志氏は決算資料内で「ガバナンス強化と国内領域の高付加価値サービスの確立を通じ、持続的な企業価値の向上を目指す」と表明。過去の誤りに終止符を打ち、再建への本格舵取りを進める構えをみせた。

同社は7月25日に定時株主総会を予定しており、ここで今後の経営方針や中期計画の明示が期待される。

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