兒玉印刷株式会社が自己破産 印刷需要の低迷と原材料高騰により事業継続を断念

山口県宇部市に本社を構える印刷業「兒玉印刷株式会社」(法人登記上の表記は「児玉印刷株式会社」)が、2024年5月30日付で山口地方裁判所宇部支部より破産手続開始決定を受けたことが明らかとなった。帝国データバンクなど複数の信用調査機関の報告で判明したもので、同社は事実上の経営破綻に至った。

同社は1948年に創業。以後、書籍やポスター、パンフレット、飲食店向けメニュー、チラシ、シール類に至るまで幅広い商業印刷を手がけ、地元に根差した営業を展開してきた。最盛期にあたる1990年代には年商9億円を超える規模に成長し、地域経済にも一定の存在感を示していた。

しかしながら、2000年代以降の社会全体におけるデジタル化の加速によって、紙媒体に対する需要は年々縮小。そうした環境の変化に加え、同業他社との競争激化や印刷資材の高騰などが経営を圧迫し、業績は右肩下がりで推移していた。

同社はこうした苦境の中で立て直しを図っていたが、近年では債務超過状態に陥っていたとされ、金融機関からの支援継続も困難となったことから、最終的に自力再建を断念。取引先や関係各所との協議を経て法的整理の道を選択したとみられる。

今後は裁判所の監督のもとで破産管財人による財産調査および債権者への配当手続きが進められる見通しで、負債総額は約1億5000万円にのぼると見られている。

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