鋳鉄管大手の日本鋳鉄管株式会社(東証スタンダード、5612)が28日発表した2026年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算は、売上高が前年同期比2.9%増の39億3,500万円となった。資材価格や物流・人件費などの高騰による収益圧迫が続くなかで、営業損失は8,300万円(前年同期は1,200万円の損失)、経常損失は5,900万円(同200万円の黒字)に拡大したが、製造合弁会社設立に伴う受取精算金を特別利益として計上したことで、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,900万円と、黒字へ転換した。
同社は昨年8月に脱炭素への取り組みとしてキュポラ炉から電気炉への転換を決定しており、今年7月より新設電気炉の稼働を開始。これに伴う試運転費用が一時的に収益を圧迫した。一方で、OEMによる製造合弁会社の設立準備が進み、クボタの京葉工場向け小口径ダクタイル鉄管のOEM生産に向けて、久喜工場の生産能力増強投資(約27億円)を進行中だ。
水道事業体のダクタイル鋳鉄管の発注は依然として低調で、同社は「コスト低減や設備再編のみでは環境悪化への対応は困難」とし、今後は製品価格の見直しにより適正な収益確保を目指す方針を示した。
併せて策定された中期経営計画では、2028年3月期を最終年度とし、ESG経営の推進と柔軟な経営体質の構築を掲げる。販売価格の改定により収益力強化を狙うとともに、全量電気炉化に向けた体制整備を加速する考えだ。
財務面では、総資産が236億9,700万円(前期末比14億7,500万円増)となり、主に現預金および固定資産の増加が寄与。純資産は95億7,600万円(同6,200万円減)で、1株当たり純資産は2,867円68銭。自己資本比率は38.9%と、やや低下した。
また、同日発表された2026年3月期通期の連結業績予想では、売上高を6.3%増の180億円、営業利益を11.8%減の2億3,000万円、経常利益を14.1%減の2億3,000万円としながらも、親会社株主に帰属する当期純利益はゼロ(0円)と予想。1株当たり当期純利益も0円とし、利益の確保が極めて厳しいとの見通しをにじませた。
なお、配当予想についても変更があり、第2四半期末・期末ともに1株25円とする従来予想を据え置くが、期末配当については当日の別資料「業績予想並びに配当予想の修正、特別利益の計上及び中期経営計画の策定に関するお知らせ」で詳細を示している。
セグメント別では、ダクタイル鋳鉄関連の売上が33億9,400万円、樹脂管・ガス関連が5億4,100万円となり、いずれも前年を上回ったが、利益面では依然として課題が残る。
同社は「社会インフラを支える供給責任を果たす」としながらも、老朽化した上下水道設備の更新需要やOEM化への期待が高まるなか、業界全体の生産過剰と採算環境の厳しさに対し、構造改革の推進と環境変化への適応を急ぐ必要がある。
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