東京都墨田区に本拠を構える佃煮店経営の「株式会社海老屋総本舗」が、8月6日付で東京地方裁判所から破産手続き開始決定を受け、事実上の倒産となったことが分かった。負債総額は約2億5000万円に上る見通し。
同社は1869年(明治2年)、浅草近くの吾妻橋たもとで創業。「海老の鬼がら焼き」や「鮒すずめ焼き」などを看板商品に掲げ、江戸前佃煮の名店として知られた。長きにわたり吾妻橋本店を拠点に、浅草・仲見世の直営店や都内百貨店への出店を通じて事業を広げ、観光客や贈答需要を取り込んできた。
しかし、食生活の変化により佃煮需要が次第に縮小。さらに新型コロナウイルス禍で店舗の休業を余儀なくされるなど逆風が重なり、売上は低迷の一途をたどった。資金繰りの悪化から今年3月に営業を休止し、事後処理を進めていた。
150年を超える歴史を誇る老舗でありながら、時代の波に抗しきれず暖簾を下ろす格好となった。江戸の食文化を支えてきた名門の退場は、地域の商業史にも大きな一ページを刻むことになる。
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