2025年10月5日、自民党の高市早苗氏が総裁に就任した直後、SNS上では「BL(ボーイズラブ)規制」をめぐる議論が再燃している。発端となったのは、Xユーザーによる次の投稿だ。
「高市早苗がBL規制しようがなんだろうがお前ら抜け道秒で見つけるだろ」
この一文は皮肉とユーモアを交え、規制が仮に実施されたとしても、ファンコミュニティがすぐに“回避策”を見出すだろうという楽観的な見方を示したもので、瞬く間に拡散。BL愛好者の間で共感を呼び、賛否両論を巻き起こしている。
「合法BL」構想や“抜け道アプリ”構想も
コメント欄には、「合法BLを作ろうの会 始動」との声や、「抜け道用専用アプリやら開発されそう」といった冗談交じりの提案も相次いだ。投稿者のすみか氏も「ちょっと面白そう」と応じ、議論は軽妙なやりとりで盛り上がりを見せている。
一方で、他のユーザーからは「漫画村のように形だけの規制になるのでは」といった冷静な意見も寄せられ、規制の実効性や目的に対する疑問が提示された。投稿の拡散とともに、「野獣先輩女の子説の使い道」といったユーモラスな派生議論も生まれ、話題はエンタメ的な広がりを見せている。
高市氏の発言をめぐる誤解と事実
今回の議論の背景には、高市氏が2007年のブログで示した「子どもの性行為を描いたコミック規制」への言及が再び注目されたことがある。ただし、同氏は近年、「表現の自由を尊重しつつ、健全性とのバランスを取る」と発言しており、BL作品そのものの規制を明確に打ち出しているわけではない。
SNS上では、高市氏の過去発言を巡る誤情報も拡散しており、コミュニティノート(訂正情報)による指摘も見られる。こうした誤認識が一部ユーザーの反発を助長しているとの見方もある。
BL文化の根強い人気と抵抗感
BL作品は日本国内外で根強い人気を誇り、女性読者を中心に幅広いファン層を形成している。日本発のサブカルチャーとして、アジアや欧米でも広がりを見せ、規制に対する敏感な反応は国際的な潮流にもつながる。
特に、BLコミュニティは長年にわたり創作と自主規制のバランスを模索してきた経緯があり、表現規制の動きに対して強い警戒感を示す傾向がある。今回の投稿も、ファンのレジリエンス(回復力)と創造性を象徴するものといえる。
SNS文化とユーモアによる“防衛線”
今回の「抜け道」発言は、深刻な問題をユーモラスに受け止めるSNS文化の特徴を如実に示している。政治的な規制に直面しても、ファンがジョークや創作を通じて自己表現の自由を守ろうとする姿勢がうかがえる。
一方で、誤情報や過剰反応が議論を混乱させる懸念もあり、政策の実態を冷静に見極める姿勢が求められる。
編集部の視点
SNS上の一文が、政治・文化・表現の自由といった大きなテーマを映し出す時代。規制の是非を巡る議論は今後も続く見通しだ。仮に新たな法制度が議論される場合でも、創作文化を支えるファンの創意工夫が、社会に新たな表現の形を提示することになるかもしれない。
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