2024年の自殺者は2万320人 前年比1517人減で過去2番目の低水準 一方で小中高校生は過去最多の529人に

政府は10月23日、2025年版自殺対策白書を閣議決定し、2024年の全国自殺者数が2万320人(前年比1517人減)であったことを発表した。統計開始以来、過去2番目に少ない水準となった。全体としては減少傾向が続く一方、小中高校生の自殺者数が529人に達し、1980年の統計開始以降で最多を更新したことが明らかになった。

■ 全体では減少、しかし若年層は依然高止まり

白書によると、2024年に全国で自殺した人の数は2万320人で、前年の2万1837人から1517人減少。2020年代に入って以降の減少傾向が続いた形だ。

この数字は、2007年の3万3000人超をピークとした自殺者数の減少トレンドを反映しており、政府による相談支援体制や地域の取り組みが一定の成果を上げているとみられる。

一方で、15〜29歳の若年層の自殺者数は3125人に上り、5年連続で3000人を超えた。特に20代後半では職場・人間関係・経済的要因などが複合して影響しているとみられ、政府は引き続き分析を進めている。

■ 小中高校生の自殺、過去最多の529人

最も深刻な増加が見られたのは、18歳以下の児童・生徒の層である。

2024年の小中高校生の自殺者は計529人に達し、前年の514人を上回って統計開始以来最多となった。

内訳は小学生が45人、中学生が166人、高校生が318人。特に高校生の増加が顕著で、進学や学業、SNSなど人間関係のトラブルに関連するケースが目立つという。

文部科学省は「学校現場におけるメンタルヘルス支援の重要性が一層高まっている」とし、教職員への対応研修やスクールカウンセラーの配置強化を進める方針を示している。

■ 政府、相談体制とメンタルヘルス教育の拡充へ

内閣府によると、政府は相談窓口の拡充とメンタルヘルス教育の強化を柱とした対策を継続する。

SNSやチャットを利用した相談体制の拡大が進められており、若年層を中心に匿名で利用できる環境づくりが重点課題とされている。

また、自治体・学校・企業が連携して支援を行う「地域連携型自殺対策モデル」の導入も進行中だ。

白書では、孤立や経済的困難、精神的な不調が重なる「複合要因型自殺」への対応が急務とされており、民間支援団体との協働強化も求めている。

■ コロナ禍以降の動向と社会背景

政府の分析によると、2020年以降の自殺者数は一時的に増加したものの、近年は再び減少傾向に転じている。

しかし、20代女性や学生など、一部の層では依然として高い水準にある。特に女性の自殺は全体の35%を占め、育児・介護・雇用不安などの社会的要因が背景にあるとみられる。

また、白書では「SNS上での誹謗中傷や孤立が要因となった事例も確認されている」と指摘し、デジタル社会における新たな対策の必要性を訴えている。

■ 自殺対策の今後の課題

政府は2026年度までに全国の自治体における「ゲートキーパー(見守り役)研修」の実施率を100%に引き上げる目標を掲げている。

加えて、学校教育ではストレスマネジメントや心理教育を含むカリキュラム導入を進め、児童生徒が早期に支援を求められる環境整備を急ぐ。

厚生労働省は「相談を受けやすい体制づくりと、周囲が気づいて声をかける意識の両輪が不可欠」としており、地域住民や企業、教育現場の協力を求めている。

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