秋田・東成瀬村でクマによる集団襲撃 男女4人が重傷 県内で人身被害相次ぐ

秋田県東成瀬村の田子内地区で10月24日午前、農作業をしていた住民4人が相次いでクマに襲われ、男性3人と女性1人が重傷を負った。

いずれも顔や頭部に深い傷を負っており、ドクターヘリや救急車で秋田市内の病院に搬送された。4人はいずれも命に別状はないが、顔面や上半身に深い爪痕や裂傷が確認されているという。

■ 農作業中に次々と襲撃

秋田県警湯沢署などによると、襲撃が発生したのは24日午前9時ごろ。田子内地区の田んぼ付近で農作業をしていた住民が、突然現れたクマに襲われた。

1人が倒れたところを助けようと駆け寄った別の住民3人も次々に襲われ、計4人が重傷を負ったという。

現場は住宅地から約300メートルほど離れた山際の農地で、普段から住民が農作業を行っていた場所だった。

救助要請を受けて消防と警察が出動。救急隊が現場に到着した際にはクマはすでに姿を消しており、4人はドクターヘリ2機と救急車で秋田市や湯沢市内の病院に運ばれた。

■ 現場近くでツキノワグマ1頭を駆除

同日午後、現場から約500メートル離れた山林で体長約1メートルの若いツキノワグマ1頭が発見され、地元猟友会によって駆除された。

警察と県自然保護課は、この個体が襲撃に関与した可能性があるとみてDNA鑑定を実施している。

県関係者によると、現場周辺では前日からクマの足跡や畑の被害が確認されており、地元自治体はすでに注意を呼びかけていたという。

■ 秋田県内でクマによる人身被害が急増

秋田県では2024年に入り、クマによる人身被害が相次いでいる。

県のまとめによると、10月23日時点で今年確認された被害件数は60件を超え、負傷者は70人を上回っている。これは統計を取り始めて以来、過去最多のペースだという。

特に県南部の横手市、湯沢市、東成瀬村周辺では、山林と集落の距離が近く、クマが人里に出没するケースが多発している。

■ 異例のペースに警戒強化

県自然保護課は「今年はドングリの実りが例年より少なく、餌を求めて山から下りてくる個体が多い」と分析している。

このため、県は早朝や夕方の屋外活動を控えるよう呼びかけており、特に農作業や通学時間帯の注意を促している。

東成瀬村役場では同日午後、緊急対策本部を設置。現場周辺にクマよけの爆竹や警報器を設置し、住民に不要不急の外出を控えるよう広報車で呼びかけた。

■ 地元住民「今年は異常な頻度」

田子内地区の住民によると、近年クマの出没は増えていたが、複数人が同時に襲われるのは初めてだという。

「畑にクマの足跡が残っていたが、まさか昼間に人を襲うとは思わなかった」「毎朝の作業が怖くなった」と不安の声が上がっている。

周辺の学校では、児童の登下校を集団に変更し、保護者の付き添いを要請するなどの対応が取られている。

■ 県と警察が現場検証・警戒パトロール

秋田県警は現場一帯を立ち入り禁止とし、24日午後から周辺山林を中心に捜索・警戒を強化した。

また、環境省東北地方環境事務所の専門職員が現地入りし、被害状況やクマの行動範囲を調査。今後は生息個体数の把握と誘引物(残飯・作物など)の除去を進める方針だ。

■ 背景にエサ不足と個体数増加

専門家によると、秋田県ではツキノワグマの個体数が年々増加しており、森林環境の変化や気温上昇によって生息範囲が拡大しているという。

特に今年は、山間部でドングリやクリなどの実りが少なかった影響で、クマが人里へ降りるケースが多発している。

また、春から秋にかけての気温の高さが冬眠の時期を遅らせ、活動期間が長引いていることも被害増加の一因とされる。

■ 国・県による対策の強化へ

環境省と秋田県は今後、クマの出没情報をリアルタイムで共有する「緊急通報ネットワーク」の運用を強化する。

また、捕獲用の箱わなを増設し、被害地域での早期発見・駆除体制を整備。さらに、農作物被害を減らすための電気柵設置補助を拡大する方針だ。

県自然保護課の担当者は「人身被害の防止を最優先に、地元自治体・警察・猟友会と連携して対応していく」とコメントしている。

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