
長野県中野市で2023年5月、住民2人と駆けつけた警察官2人の計4人が殺害された事件で、長野地裁は2024年10月、被告の青木政憲被告に死刑判決を言い渡した。これに対し弁護側は2024年10月27日、判決を不服として東京高等裁判所に控訴したことを明らかにした。控訴理由として、弁護団は被告の当時の精神状態に心神耗弱の影響があったと主張し、量刑の再検討を求めている。
事件は2023年5月25日夕方、青木被告が住民女性に刃物で襲いかかり、それを制止しようとした別の住民男性にも攻撃を加えて死亡させたうえ、通報で駆けつけた警察官2人に猟銃を発砲して殺害したとされるもの。青木被告はその後、自宅敷地内に立てこもり、約12時間後に確保された。捜査段階で犯行態様の計画性や猟銃の使用が重大な結果を招いたとして、検察側は極刑を求刑していた。
第一審判決では、青木被告の責任能力について「事件当時、被告は自己中心的な思考に基づき、著しい危険性を持った行動に及んだ」と認定し、精神鑑定結果も踏まえて完全責任能力を有していたと判断。凄惨な犯行と社会的影響の大きさを考慮し、死刑が相当と結論づけた。
これに対し、弁護団は控訴審で精神鑑定のさらなる検証を求める姿勢を示しており、「被告は事件当時、精神的に追い込まれた状態にあった」「判断能力が著しく低下していた可能性がある」と主張。心神耗弱が認められれば刑の減軽が可能であるとして、改めて再審理を求める構えだ。
一方、事件の重大性から遺族や地域住民の間では厳罰を求める声が根強い。SNS上では「控訴に納得できない」「被害者と遺族の苦しみを考えるべき」などの意見が相次ぎ、社会的関心が再び高まっている。県内では事件発生から時間が経過した現在も、地域の安全確保や再発防止に向けた議論が続いている。
被害者家族はこれまでの取材に対し、「命を奪われた現実は変わらない」「極刑は当然の判断」とする意見を示す一方で、長期化する裁判への不安や心労を吐露している。事件現場周辺では住民が花を手向ける姿が見られ、追悼の思いが途切れることはない。
控訴審では、責任能力の判断、犯行動機の分析、刑の妥当性が焦点となる見通し。司法の厳正な判断が改めて問われることとなり、審理の行方は今後も注目を集める。法曹関係者からは「精神状態の評価が極めて重要になる」との見方が示されている。
今回の控訴により、事件の最終的な結論はさらに先送りされることになる。東京高裁は控訴審の日程を今後公表する予定で、審理には長期間を要する可能性もある。被告側と検察側の主張が法廷で再び対立する中、社会の視線は裁判の帰結とその正当性に向けられている。
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