
岩手県盛岡市で10月28日、クマの出没が相次ぎ、市内の安全対策が急務となっている。午前には盛岡市中心部に位置する岩手銀行本店の地下駐車場に子グマ1頭が入り込んでいるのが確認され、警察と市の担当者が出動。麻酔銃を使用して無事に捕獲された。地下構造の施設内にクマが侵入する事例は市内でも珍しく、関係者に緊張が走った。
捕獲された子グマは体格が小さく、行動状況などから親グマとはぐれた可能性があるとみられている。現場はJR盛岡駅からも近い繁華街で、通勤・通学者の往来が多いエリアであるため、通報を受けた市は一時周辺住民に外出時の注意を呼びかけた。捕獲の際、負傷者は確認されていない。捕獲後はクマの専門機関へ移送され、状況が確認されたのち対応が検討されるとしている。
同日午後には、盛岡市上田の岩手大学構内でも別のクマが目撃された。この影響により、大学側は学生・教職員の安全確保を最優先するとして、午後の講義を全面休講とした。構内の巡回警備を強化し、学生や近隣住民に対して学内メールや防災無線を通じて警戒と不要不急の外出自粛を促した。大学周辺は住宅地が広がるエリアであり、周辺住民にも状況を注視するよう呼びかけが行われた。
市内では前夜から親子グマとみられる複数頭の目撃情報が寄せられており、盛岡市や警察、県などが連携し、警戒態勢を強めている。特に今回は住宅地や公共施設周辺での出没が相次いだことから、クマの行動範囲が市街地に拡大していることが明確になった。市によると、近年は山間部での食料不足が背景にあるとされ、どんぐりなどの木の実の不作が影響してクマが餌を求めて人の生活圏へ降りてくるケースが増加しているという。
盛岡市周辺では、これまでも単発的なクマ出没は報告されてきたが、短期間に複数件が連続するのは異例。市民生活への影響が懸念される中、市は緊急の対策会議を開き、警戒区域の設定、公園・河川敷などへの注意喚起看板の設置を決定した。あわせて、登下校時の児童生徒の安全確保に向け、学校周辺の見回りを強化する方針を示した。
環境専門家は「冬眠前のクマは食欲が増し、行動が活発になるため、市街地に出没する事例が多発しやすい時期。遭遇した場合は決して近づかず、速やかに通報することが重要」と指摘している。県は市民に対し、熊鈴の携帯や夕暮れ時の山際への接近回避など、自衛策の徹底を呼びかけている。
警察は引き続きクマの行方を追うとともに、市と連携して巡回を実施し、現場付近の安全確認を進めている。市民からの情報提供も受け付け、今後の出没状況や生息動向を注視しながら、必要に応じてさらなる対策を講じる方針だ。
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