
東京都町田市で10月27日夜、救急隊が救護活動中に出動中の救急車が盗まれる事件が発生した。警視庁町田署は窃盗容疑で50代の男を現行犯逮捕し、事件の全容解明を進めている。搬送中の患者がいたが、救急隊が即応したことで搬送の遅れや影響は確認されていない。
事件が起きたのは27日午後、町田市内の住宅街。救急隊は体調不良の通報を受け現場に到着し、患家内で患者の状態確認と応急処置を行っていた。その際、救急車はエンジンをかけたまま待機していたが、隊員が一時的に車両から離れたすきに、無施錠の救急車に男が乗り込み発進したとみられる。救急車には無線機や医療機材が積まれており、緊急走行中の車両が盗まれた異例の事案として警視庁は注意喚起を強めている。
救急隊が異変に気づき通報したことで、パトロール中の警察官が数分後に市内の道路で救急車を発見。男は逃走中に運転を誤り停車したところを確保された。負傷者や他車両との接触は確認されておらず、被害が拡大する前に制止された。救急車内の医療資機材や無線設備に損傷はなかったとされる。
患者は別の救急車に速やかに引き継がれ搬送されたため、生命や容体に影響は出ていないという。対応した消防関係者は「二次被害を避けられたのは幸い」としつつ、出動中車両への不法侵入への警戒徹底を改めて強調した。
逮捕された男は町田市内に居住する無職とみられ、調べに対し、動機の説明を避けているとされる。警視庁は男が救急車に乗り込んだ経緯や、緊急車両を狙った理由を詳しく追及している。男に薬物影響や酩酊状態がなかったかについても確認を進め、責任能力の有無を含め慎重に捜査が行われている。
事件後、東京消防庁は救急活動中の車両管理について内部で検証を開始した。救急現場では隊員が患者救護にあたるため、車両の施錠が完全に徹底できない状況が起こり得ると指摘されており、出動中車両の安全確保策が課題として改めて浮上した。自治体関係者は「現場の迅速性と安全性の両立が必要」と語っている。
警視庁は同様事案の未然防止のため、現場周辺の警戒や情報共有を強化し、地域住民に異変があった場合の早期通報を呼びかけている。救急・消防活動を妨害する行為は刑事罰の対象となり、市民の生命に直結する重大なリスクがあるとして厳しい姿勢で対処する方針だ。
今後、警視庁は犯行の背景、男が単独で行動していたか、救急車内の機材に触れていたかなど詳細を調べたうえで立件を進める見通し。地域社会に緊張が走った今回の事案は、緊急車両の運用体制見直しにも影響を与える可能性がある。消防関係者は「市民の安全を守るため、一層の改善を図る」としている。
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