
埼玉県三郷市で2025年5月14日に発生した飲酒運転によるひき逃げ事件で、中国籍の籠郁洪鵬(ろん・いくほん)被告(43)が、さいたま地方裁判所で開かれた初公判で起訴内容を認めた。事件は、下校途中の小学生4人が巻き込まれ、うち1人が重傷を負ったもので、地域社会に大きな衝撃を与えている。
起訴状によると、被告は当日午後、酒気を帯びた状態で自家用車を運転し、三郷市内の交差点付近で児童4人と接触。そのまま現場から逃走したとされる。被告は事故後、警察の呼びかけに応じず、翌日に逮捕された。呼気検査では基準値を大きく上回るアルコールが検出されたという。
裁判で検察側は、被告が事故直後に救護措置を取らず逃走した点を「極めて悪質」と指摘。さらに、ドライブレコーダーには被告が同乗者から制止を受けたにもかかわらず「日本語が分からないと言えばよい」と発言し、その場を離れる様子が記録されていたことが明らかになった。検察側は、責任回避の意図が明確だったとして懲役2年6カ月の実刑を求刑した。
一方、弁護側は被告が逮捕後に被害者や家族に謝罪していることや、反省の意思を示している点を挙げ、執行猶予付きの判決を求めた。弁護人は「被告は言葉の壁があり、当初は混乱していた。逃走は意図的ではなく、状況判断を誤った結果だった」と主張した。
被害を受けた児童のうち1人は足に重傷を負い、現在も通院治療を続けている。学校関係者は「登下校中の児童が被害に遭ったことは極めて遺憾。地域全体で安全対策を強化したい」とコメントしている。市教育委員会も通学路の見直しや警備員配置の検討を進めており、再発防止に向けた取り組みが行われている。
事件当日の防犯カメラ映像や近隣住民の証言から、被告の車両は現場付近で蛇行運転をしていたとされ、飲酒運転の危険性が改めて問題視されている。三郷市では過去にも飲酒絡みの交通事故が発生しており、警察は取締りの強化を続けている。
さいたま地裁での審理は29日に結審し、判決は11月中旬に言い渡される予定。裁判官は被告に対し「事故の重大さと被害者への影響を真摯に受け止めるべき」と述べ、今後の社会復帰に向けた態度改善を促した。
この事件を受け、県警は改めて「飲酒運転根絶」を呼びかけ、道路沿いの検問強化や夜間パトロールの増員を実施している。地域社会では被害児童の回復を願う声とともに、安全教育の徹底を求める意見が相次いでいる。
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