
大阪府警は10月30日、医師免許を持たないにもかかわらず医療行為を行っていたとして、大阪市大正区の会社役員・原田伸一容疑者(66)を医師法違反の疑いで逮捕した。原田容疑者は大阪市北区の「北新地さくらクリニック」で、2024年9月から2025年4月にかけて患者169人に対して問診や薬の処方、BCGワクチン注射など、少なくとも418回に及ぶ医療行為を行った疑いが持たれている。
警察によると、事件の端緒は別の在留カード偽造事件の捜査中に発覚したもの。押収された電子データの中に「偽造医師免許証」の画像が見つかり、そこから原田容疑者が医師資格を持たないままクリニックで治療行為を行っていたことが判明したという。
府警は関係先を家宅捜索し、処方記録や診療記録などを押収。原田容疑者が「医師免許を偽造して使用した」とみられる経緯を調べている。
捜査関係者によると、原田容疑者は「自分は医学知識がある」「指導的立場だった」と説明しているが、容疑を一部否認しているという。これまでの調べで、がん治療を目的とした患者に対しても診療や注射指示を行っていた疑いがあり、警察は医療行為の内容が患者の健康被害に直結していないか慎重に確認を進めている。
問題のクリニックは大阪市北区の繁華街・北新地に所在し、がん治療や再生医療をうたう自由診療を中心に展開していた。警察によると、原田容疑者は自身を「医師免許保有者」と偽って同クリニックに勤務していたとされ、クリニック側は「経歴書を確認したが虚偽に気づかなかった」と説明している。
府警の調べでは、原田容疑者が携わった患者の多くは、がんや慢性疾患の治療を目的に来院しており、注射や点滴などの医療行為の大半が容疑者の指示下で行われていたとみられる。
また、処方された薬剤やワクチンの一部については、原田容疑者が自ら指示書を作成していた形跡があり、実質的に「医師」として業務を行っていた疑いが強まっている。
警察は、原田容疑者が勤務していた期間中に同クリニックで治療を受けた患者に対して健康被害がなかったかを確認しており、必要に応じて追加の聴取や検査を進める方針。
現在までに重篤な被害の報告は確認されていないが、医療行為を行う資格を持たない人物による治療であることから、警察は「極めて悪質」として余罪を追及している。
一方、クリニックを運営する法人は「原田氏が無資格であったことは報道で初めて知った。虚偽の経歴を信じて雇用しており、資格確認を怠ったことは深く反省している」とコメントを発表した。
同クリニックでは今後、外部医師による監査と再発防止策の策定を行うとしている。
大阪府警は、原田容疑者が別のクリニックや関連医療機関でも同様の行為を行っていた可能性があるとみて、関係先の洗い出しを進めている。捜査は今後、偽造医師免許の作成経緯や、虚偽の経歴をどのように使用していたかにも及ぶ見通しだ。
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