京都市、同姓同名の別人の口座を誤って差し押さえ 「報道しない」との告発も拡大

京都市は31日、市税の滞納処分を巡り、滞納者と同姓同名・同生年月日の別人の預金口座を誤って差し押さえたと発表した。差押えは既に解除されたが、差押調書が誤って滞納者側に送付され、被害者の口座番号や届出住所などが外部に出たことが確認されている。市は照合手続きの不備を原因とし、再発防止策を検討するとしている。

被害を受けた男性は、銀行口座の残高が「全て消えた」とし、銀行での照会の結果、京都市納税課の差押指示があったとする衝撃的な投稿をX(旧ツイッター)に書き込んだ。男性は指定の連絡先に電話したところ、納税課の担当者と名乗る人物が応対したといい、今回は軽微な事案だから報道しないといった説明を受けたと告発している。この投稿は拡散し、大きな波紋を呼んだ。

京都市の公式発表によれば、10月16日に滞納者の預金差押えを執行した際、誤って府外在住の別人の口座を差し押さえた。被害の申告は同月27日にあり、市は差押え解除と謝罪を行ったとしている。ただし、差押調書に記載された個人情報が滞納者側へ送付された点については「漏洩があった」と認め、今後の対応を協議中と報告している。

専門家らは今回の事案を国や自治体の手続き上の「人的チェック欠如」の典型例と指摘する。複数の過去事例(東京都福生市、群馬県伊勢崎市、新潟県村上市など)でも、居住地確認などの照合不足が原因で別人の口座が誤差押さえられており、今回も同様の手順ミスが要因とされる。公的な差押えは強制執行という重大な行政権の行使であるだけに、照合プロセスの厳格化と責任の所在を明確にすることが不可欠だ、と指摘されている。

被害者側は、口座の中身が「全額引き出されていた」と証言しており、月末の自動引き落としが不能になった場合には信用情報機関(CICなど)にネガティブな傷が付く可能性も指摘されている。こうした金銭的・信用面での被害が発生した場合、差押えの解除のみならず、補償や賠償が法的に検討される余地があるとの見方もある。あるネット上の書き込みは「誤差押えで不当な損害が発生した場合、補償・賠償請求が成立する可能性が高い」と警鐘を鳴らしている。

今回の一件は、自治体の滞納回収業務が市民の生活や信用に直接影響を与える性質を改めて浮き彫りにした。誤差押えの防止と、誤って差し押さえられた市民への迅速かつ十分な補償、さらに個人情報管理の徹底は、自治体の信頼回復にとって喫緊の課題である。京都市は具体的な再発防止策と補償方針を早急に示すべきだろう。

(取材・文/あしたの経済新聞編集部)

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