
東京都文京区白山の高級住宅地にある土地とビル2棟(評価額約10億4500万円)を巡り、所有者親子になりすまして売却を試みたとして、警視庁捜査2課は2025年11月2日までに、いわゆる「地面師」グループの男2人を詐欺未遂の疑いで逮捕した。
逮捕されたのは、自称会社役員の石川量英容疑者(64)と、無職の松本大樹容疑者(59)。警視庁によると、2人は共謀のうえ、実在する所有者である80代女性とその息子を装い、不動産会社との間で売買契約を進めようとしていた。
警視庁の調べでは、容疑者らは偽造した登記簿謄本や身分証を準備し、取引の一部として手付金500万円を受け取ろうとしたが、不動産会社の担当者が「本人確認のための署名が不自然」と不審に思い、真正の所有者に直接確認したことで詐欺が未然に発覚したという。
この通報を受け、捜査2課が都内で身柄を確保し、2人を詐欺未遂容疑で逮捕。押収された書類や印鑑は精巧に偽造されており、警視庁は背後に専門的な偽造グループが関与している可能性もあるとみて、実態解明を進めている。
いわゆる「地面師詐欺」は、他人の土地を無断で売却しようとする古典的な不動産詐欺の一種だが、近年はAI技術や高精度のスキャナーを悪用した身分証偽造が増加している。特に高額物件を狙ったケースが目立ち、東京・港区や渋谷区でも同様の事件が相次いでいる。
警視庁関係者は「登記情報がオンラインで入手しやすくなったことで、犯罪者が対象物件を特定しやすくなっている。本人確認の徹底と、書類の真正性を電子的に検証する仕組みの強化が急務」としている。
今回の事件が発生した文京区白山地区は、都心ながら落ち着いた住宅街で、資産価値の高い不動産が集中するエリア。地価上昇が続く中、詐欺グループが「売却意欲の薄い高齢所有者」を狙う傾向も指摘されている。
不動産業界では、取引時の「なりすまし」防止策として、
- 公的機関を通じた本人確認書類のオンライン照合、
- 立会人の録画記録義務化、
- 電子署名による契約認証
などの導入を求める声が強まっている。
警視庁は今後、押収した通信機器の解析を進め、他にも同様の手口を用いた事件がなかったか調べる方針。調べに対し、2人は「金が欲しかった」「知人に頼まれて書類を用意しただけ」などと供述しており、犯行の経緯や組織的背景の解明が焦点となる。
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