大阪ミナミ、観光公害が深刻化 過去最多847万人訪問でごみ散乱・路上喫煙増加 住民から不満噴出

大阪市中央区の繁華街・ミナミ(道頓堀周辺)で、外国人観光客による観光公害(オーバーツーリズム)が深刻化している。2025年上半期には847万人の外国人観光客が訪れ、コロナ禍前を上回る過去最多を記録。観光需要の回復が進む一方で、ごみの散乱や路上喫煙、騒音などの問題が顕在化し、地域住民や事業者からは「清掃が追いつかない」「マナー啓発が不十分」といった不満の声が相次いでいる。

■ 観光地としての成功が裏目に

大阪ミナミは「グリコの看板」に代表される観光の象徴であり、道頓堀川沿いの戎橋や心斎橋筋商店街には、連日多くの観光客が詰めかける。インバウンド需要の回復により、飲食店やホテルの売上は大幅に回復したが、その一方で、公共マナーを巡るトラブルも増加。

大阪市の関係者によると、特に週末や大型連休中は、飲食後のごみをその場に放置するケースや、禁煙区域での喫煙が急増しているという。市の清掃職員は「朝方まで営業する店舗が多く、ごみが一晩で山のように出る。掃除が終わった直後にまた散乱してしまう」と苦悩を語る。

■ 住民・事業者の声:「街が汚れ、暮らしに支障」

近隣住民からは、「夜中まで大声で騒ぐ観光客が多く、眠れない」「路上に飲み残しのペットボトルや串が散乱して危険」との苦情が相次いでいる。商店街の一部では、観光客の立ち食いや喫煙を防ぐため、個別に警告文を掲示する店舗も出ている。

飲食店経営者の一人は「観光客が戻るのはありがたいが、マナーが悪いと地域の印象が悪くなり、リピーターが減る」と懸念を示す。

■ 行政の対応:ごみ箱増設と啓発活動

大阪市は2025年春以降、ミナミ地区でごみ箱を従来の1.5倍に増設し、清掃員のシフトを拡大した。また、観光客にマナー遵守を促す多言語看板や音声アナウンスを導入している。しかし、現状では「焼け石に水」との見方も多い。

市の担当者は「観光客の急増に対して、人員も予算も追いついていない。行動ルールの周知には時間がかかる」と説明。行政としては「民間と連携し、ボランティア清掃やSNSを活用した啓発を強化する方針」だという。

■ 専門家の指摘:「オーバーツーリズムの構造的課題」

関西大学の都市政策学者・松本准教授(仮名)は、「大阪の観光公害は、単なるマナー問題ではなく、地域設計の課題だ」と指摘する。「観光地の密集構造と狭い道路環境、夜間営業の多さが重なり、集中度が高まっている。都市として観光客の流入制御をどのように行うかが問われている」と語る。

また、観光庁も2025年大阪・関西万博を控え、観光公害対策を全国的に検討中。具体的には、宿泊税・入国税の活用、観光エリアの分散化、マナー教育の国際的発信などが検討されている。

■ SNS上では「入国税導入」や「民泊規制」論も

X(旧Twitter)上では、「観光地税を導入して清掃費に充てるべき」「民泊を制限しないと地域の秩序が保てない」といった意見が拡散している。一方で、「観光客が戻って経済が潤っているのだから文句を言うのは筋違い」との反論もあり、議論は二分されている。

■ 観光政策の見直しへ

大阪府と大阪市は現在、観光戦略の見直しを検討しており、「地域共生型観光」への転換を掲げている。観光庁によると、今後は「訪問者数」よりも「地域の満足度」と「持続可能性」を重視する方向へとシフトしていくという。

その一環として、地元商店街との協働による「夜間マナー啓発プロジェクト」や、「観光客と地域住民の対話イベント」も企画されており、過密観光からの脱却を目指す動きが始まっている。

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