日本国内の防犯カメラ約500件が海外サイトで無断公開 保育園・工場映像も含まれる実態に専門家が警鐘

日本国内で設置されたネットワークカメラ(いわゆる防犯・見守りカメラ)の映像およそ500件分が、海外の閲覧サイト上で無断公開されていたことが、読売新聞とトレンドマイクロの共同調査で明らかになった。これらの映像は、企業や一般家庭、保育園、工場などで撮影されたもので、外部から誰でもリアルタイムで視聴できる状態に置かれていたという。

公開されていた映像の中には、保育園の園児が着替える様子や昼寝中の映像、工場内部での作業シーン、商店のカウンターやレジ付近、さらには民家の玄関前などが含まれていた。映像は特定の海外サーバーを通じて自動配信されており、国内からのアクセスでも視聴可能な状態だった。

調査によると、これらの多くはパスワード設定の不備や初期設定のまま使用していたことが原因で、第三者によって自動的に収集・公開されたものとみられる。

専門家によれば、こうした映像流出は単なるプライバシー侵害にとどまらず、「犯罪利用につながる危険性がある」という。防犯カメラの映像は、設置場所や人物の生活パターンを把握する材料にもなり得るため、悪意ある第三者が侵入・窃盗・ストーキングなどに利用する可能性があると警告している。

また、今回の流出映像の一部は、特定の海外サイト上で「世界中の監視カメラを見られる」として紹介されていたという。こうしたサイトは、アクセス制限のないネットワークカメラのIPアドレスを自動収集し、地図上に表示して公開する仕組みを採用しており、世界各国のカメラが無断で掲載されている実態がある。

トレンドマイクロの分析チームは、映像の大半が「設定ミスによる意図しない公開」である一方で、「設置者が気づかないまま第三者のサーバー経由で外部に中継されるケースも確認された」としている。国内法では明確に規定されていないが、公開された映像の内容によっては、個人情報保護法や肖像権侵害の問題に発展する可能性もある。

警察庁関係者も、「最近では小規模店舗や個人宅でも安価なネットワークカメラの導入が進んでいるが、初期設定のまま放置しているケースが多い」と指摘。「利用者自身がパスワード管理を徹底すること、ファームウェアを最新の状態に保つことが重要」と呼びかけている。

さらに、今回の報道を受けて、政府関係機関では「IoT機器全般のセキュリティ強化」が急務とされており、総務省や経産省はメーカーに対しても安全基準の見直しを検討している。特に、教育施設や医療機関など、機密性の高い映像を扱う現場では、暗号化通信・アクセス制限・監査ログなどの導入を求める動きが広がっている。

一方で、カメラメーカーや設置事業者の中には「利用者が自己責任で設定変更を行うケースが多く、製品側の制御では限界がある」として、利用者への啓発強化の必要性を訴える声も上がっている。

現在、情報セキュリティ専門家らは、流出映像の削除や関連サーバーの遮断を急いでおり、国内のインターネット事業者とも連携を進めている。

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