
警察組織の倫理意識が問われる事案が続いている。神奈川県警と警視庁で、それぞれ警察官による勤務中の不適切行為が相次いで発覚し、関係職員が懲戒処分を受けていたことが7日までに分かった。県警は「極めて遺憾」とする声明を出し、再発防止に向けた徹底調査を進めている。
神奈川県警によると、秦野警察署に勤務していた40代の男性巡査部長と20代の女性巡査が、当直勤務中に交番内で複数回にわたり不適切な行為を行っていた。内部監査で夜間巡回の記録に不自然な空白が見つかり、確認したところ交番内防犯カメラの映像から行為の一部が判明したという。
県警監察官室は、2人の行為が「公務員としての品位を著しく損なう行為」に該当すると判断し、男性巡査部長を減給10分の1(3カ月)、女性巡査を戒告とする懲戒処分とした。男性は処分を受けて依願退職した。
一方、警視庁でも同時期に別の不祥事が発覚した。警視庁捜査一課に所属していた30代の男性巡査長が、同じ職場に勤務する女性事務職員に対し、署内や公用車内で不適切な接触を繰り返していた疑いが持たれている。内部告発を受けた監察部が調査を行い、男性巡査長を停職1カ月の懲戒処分とし、後に依願退職を受理。
女性職員に対しては心身ケアのための支援が行われているという。警視庁は「組織の信用を著しく損なう行為であり、深くお詫びする」とコメントを発表した。
これら一連の不祥事は、2025年6月から8月にかけて発生したとみられ、X(旧Twitter)上では「警察官の規律はどこへ行ったのか」「国民の安全を守る立場として自覚が足りない」といった批判が相次いでいる。特に、勤務時間中に職場内で行為が行われていた点について「監督体制が機能していない」との指摘が強い。
警察庁は事態を重く見て、全国の都道府県警に対して「勤務中の行動管理と服務倫理の再確認を徹底せよ」との通知を出した。あわせて、上司による巡回・監督強化と、交番や署内での映像監視体制の見直しを求めている。警察庁関係者は「一部職員の不祥事が組織全体の信頼を損なう。綱紀粛正と再教育を進める」としている。
神奈川県警内部では、勤務シフトが長時間化していることや、交番勤務員のストレス増大も背景にあるとの見方が出ている。ある警察関係者は「深夜勤務の多さや人員不足が続き、精神的な緊張感が途切れる場面がある。組織としてのメンタルケアが追いついていない」と語る。県警は今後、勤務環境改善や心理支援体制の充実を図る方針だ。
警察官による不祥事は、近年全国的に後を絶たない。警察庁のまとめによると、2024年度に懲戒処分を受けた警察官は過去10年で最多の268人に上り、そのうち「服務規律違反」が全体の約4割を占めた。特にSNSを通じた不適切投稿や職務上の地位を利用した不正行為が増加しており、一般職員に比べて高い倫理基準が求められている。
市民の信頼を回復するため、警察組織は自らの「内部統制力」が試されている。
神奈川県警幹部は「一人の過ちが全体の信用を傷つけることを肝に銘じ、規律の再教育を徹底したい」と述べた。
警察庁も「職員一人ひとりの倫理観の向上なしに信頼回復はない」と強調しており、再発防止に向けた取り組みが急務となっている。
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