LINEヤフー、「通知なしメッセージ取り消し」機能を正式導入 プレミアム会員限定で最大7日間対応 誤送信防止と“静かな削除”の両立へ

LINEヤフー株式会社は11月7日、同社が運営するメッセージアプリ「LINE」において、LYPプレミアム会員を対象に“通知なしでメッセージを取り消せる”新機能の提供を開始したと発表した。未読状態のメッセージを送信後、相手に削除通知を表示させずに取り消せる仕様で、誤送信対策やプライバシー保護を目的としている。対象となるのは送信から最大7日以内のメッセージで、利用者は通知を「あり・なし」から選択できるようになった。

従来のLINEでは、メッセージを削除・取り消しした際に「○○がメッセージを取り消しました」という通知が必ず相手側に表示されていた。このため、誤送信を修正したくても“消したこと自体”が伝わってしまうという課題が指摘されてきた。今回のアップデートは、その「心理的ストレス」を軽減する目的で開発されたものだという。

LYPプレミアム会員は月額会費508円(税込)で、Yahoo!ショッピングやPayPayポイント特典などを利用できる有料プラン。今回追加された通知なし取り消し機能は、このプレミアム会員限定の特典として導入された。一方、無料ユーザーや一般会員には仕様変更が加えられ、従来24時間以内だったメッセージ取り消し期間が「1時間」に短縮される。加えて、取り消し時には必ず通知が表示されるように段階的に変更される予定だ。

LINEヤフーは今回の新機能導入について、「ユーザーの誤送信トラブルや、送信後の不安を軽減するための改善策」と説明。AIによる誤送信検知機能やメッセージ編集機能などと合わせ、ユーザー体験の最適化を図るとしている。

SNS上では早くも反応が分かれており、

「誤って送ってしまったメッセージを静かに消せるのはありがたい」

「上司に間違って送ったときの保険になる」など歓迎の声がある一方、

「証拠隠しやトラブル隠蔽に使われるのでは」「ビジネスチャットではリスクが高い」といった懸念も上がっている。特に企業利用の観点からは、社内コミュニケーションや顧客対応記録の透明性が損なわれる可能性を指摘する声もある。

一方で、LINEヤフーは「通知なし削除」を利用できる範囲を限定し、既読メッセージの取り消しやスクリーンショット後の削除などは対象外としている。また、メッセージ削除ログは一定期間内部サーバーに保存される仕組みになっており、法的要請があった場合は開示対応が可能と説明した。

情報セキュリティの専門家は、「通知なし削除はユーザー心理に寄り添った設計だが、同時に悪用のリスクも孕む。特にSNSトラブルや恋愛詐欺などでは“証拠隠滅型”のやり取りに使われる懸念がある」と指摘している。

同社によれば、利用者の行動データをもとに、今後は「削除後の自動再通知」や「トーク履歴バックアップとの連携」などの追加機能も検討しているという。LINEは月間アクティブユーザー約9600万人を抱えており、国内では事実上の通信インフラとして定着している。今回の変更はその影響範囲が大きく、ユーザー行動やデジタルマナーに新たな議論を呼ぶ可能性がある。

「送信取り消し」という一見シンプルな機能の裏には、SNS時代特有の“見せない選択”という課題がある。

メッセージを消す自由と、透明性を守る責任――そのバランスをどう取るか。LINEヤフーの今回の試みは、国内SNSプラットフォームの倫理設計を再考させる一手となりそうだ。

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