茨城県、ガソリン暫定税率廃止で174億円減収見込み 大井川知事「国は恒久的代替財源の確保を」強く要請

政府が進めるガソリン税および軽油引取税の暫定税率廃止方針をめぐり、茨城県の大井川和彦知事は7日の定例記者会見で、「県にとって174億円の税収減は極めて深刻な問題であり、インフラ維持や防災事業に支障を及ぼしかねない」と強い懸念を示した。

大井川知事は「国民の税負担軽減という方向性には理解を示すが、地方が担う公共サービスの持続には代替財源の確保が不可欠」と述べ、国に対して恒久的な補填策を求めた。

茨城県の試算によると、暫定税率が廃止された場合、県税収に直結する軽油引取税の減収が大半を占める見通しで、道路維持や橋梁補修、公共交通整備などのインフラ関連事業に影響が出るおそれがある。県内の市町村にも配分される分を含めれば、実質的な地方財政への影響は200億円規模に達する可能性もあるという。

ガソリン税の暫定税率は1974年のオイルショック以降、道路特定財源確保を目的に導入されたもので、現在もリッター当たり25.1円が上乗せされている。この暫定部分が廃止されれば、消費者には価格引き下げ効果が期待される一方、地方自治体の道路維持費や交通安全対策の原資が大幅に減ることになる。

会見で大井川知事は、「減税の恩恵を享受するのは全国民であるが、その負担を一方的に地方が被る構図は是正されるべきだ」と述べた。さらに「一時的な交付金対応ではなく、恒久的な制度設計を政府が責任をもって示すべき」と語り、単年度補填ではなく安定的な財政スキームの構築を国に求めた。

この問題をめぐっては、全国知事会も同様の懸念を共有しており、先月の会合では「地方財政の根幹を揺るがす」として、国に制度的補填を要請する意見書をまとめた。特に地方圏では、道路整備や防災関連事業の財源がガソリン税に依存しており、代替財源が確保されなければ公共事業の縮小や地域交通の維持困難が懸念されている。

茨城県内でも、常磐自動車道や国道6号線沿線の老朽化対策、河川堤防の改修工事などに暫定税率由来の財源が充てられてきた。県土木部関係者は「ガソリン税の減収は単に道路の話ではなく、防災・通学路・農業用インフラなど、生活基盤全体に影響する」と指摘する。

県議会与党会派からは「地方財政への打撃を緩和する具体策が見えなければ、減税は歓迎できない」とする意見が上がる一方、県内経済界からは「物流コストの抑制や消費回復につながる」として減税効果を評価する声もある。大井川知事は、こうした賛否の温度差を踏まえ「県としては国との協議を続け、地域経済と財政運営の両立を図る」との方針を示した。

財務省はこれまで、地方交付税による一部補填の可能性を示唆しているが、対象範囲や期間については明言を避けている。総務省関係者も「地方の税収減が確定する前に議論を進めることは難しい」として慎重な姿勢を見せており、年末の税制改正大綱が焦点となる見通しだ。

県内自治体の担当者からは、「国が決断を下すのは結局年度末。現場ではすでに予算編成が始まっており、174億円という数字はあまりに大きい」との声も聞かれる。

県財政担当部局は今後、公共事業費の見直しや基金取り崩しによる一時的対応も検討する構えだが、「恒久的な代替財源なしでは根本的な解決にはならない」としている。

地方税財政をめぐる攻防は、国の減税方針と地方の実務負担との矛盾を浮き彫りにしている。

大井川知事は「国が主導する減税であっても、地方の現場で何が起きるのかを直視してほしい」と強調し、国民への実益と地方の持続性を両立させる制度設計を重ねて訴えた。

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