北海道浦河町で体長2メートルのヒグマが車に突進 牧場スタッフ無事 SNSで拡散、住民の不安広がる

北海道浦河町で6日夜、町内の牧場スタッフが車で移動中に大型のヒグマと遭遇し、車に突進される事故が発生した。体長およそ2メートルに達するヒグマが勢いよく車体前方にぶつかり、ドアやボンネットには深い爪痕が残った。乗っていたスタッフにけがはなく、命に別条はない。

現場は浦河町の桑田牧場付近で、スタッフが夜間に馬の世話へ向かう途中の出来事だった。暗闇の中、道路脇から突然ヒグマが現れ、車のライトに反応するように走り出した直後、車体の右側面に体当たりしたという。スタッフがすぐに車を停止し、車内から通報。駆け付けた警察と猟友会が現場を確認したが、ヒグマはすでに山林方向へ走り去っていた。

牧場の関係者によると、事故直後の車体には長さ30センチを超える爪痕が複数残っていたという。スタッフは「ドンという衝撃音がして、車体が大きく揺れた。ヘッドライトに照らされたヒグマの目が光って見えた」と話している。現場の映像はスマートフォンで撮影され、X(旧Twitter)上に投稿された動画は一晩で5万件を超える「いいね」を集め、全国に拡散された。

浦河町では10月以降、クマの出没が相次いでおり、町はすでに「クマ出没警戒情報」を発令していた。これまでに町内各地で複数の目撃報告があり、農地や住宅街近くでの痕跡も確認されている。町役場の担当者は「これまで山林地域中心だった出没が、今回は人里に近い牧場まで及んだことは非常に深刻」と話す。

北海道全域では、2025年に入ってからヒグマの出没・被害報告が過去最多を更新しており、道庁によると10月末時点で1000件を超える通報が寄せられている。特に日高地方では、今年だけで家畜や農作物への被害が前年の2倍以上に達しており、道警が地元猟友会と連携して夜間巡回を強化している。

現場周辺は牧場や住宅が点在する地域で、日中でも山林と道路の距離が近い。夜間照明が少ないため、ヒグマが道路上に出てくるケースが多く、車両との衝突も懸念されている。専門家は「繁殖期を終えたヒグマが冬眠前にエサを求めて広範囲を移動する時期。特に日高地方はサケ・マスの減少で山から下りてくる個体が増えている」と指摘する。

浦河警察署は7日朝から現場付近の警戒を強化。付近住民には不要不急の夜間外出を控えるよう呼びかけている。また、牧場関係者には熊鈴や車両ライトを活用した防止策を指導し、万が一の遭遇時には絶対に外へ出ず、車内から通報するよう求めている。

一方、SNS上では「牧場スタッフが無事で良かった」「車の爪痕がリアルすぎる」「浦河はもうヒグマのテリトリーだ」といった投稿が相次ぎ、映像の拡散が進む一方で、観光業への影響を懸念する声も出ている。

町の観光課は「安全確保を最優先に、夜間の牧場見学やイベントは一部中止とした。今後も道警・猟友会と連携して注意喚起を続ける」とコメントした。

北海道全体では、11月に入っても気温が高く、ヒグマの冬眠入りが遅れていることが出没増加の一因とされており、専門家は「冬眠前の飢餓状態のクマは特に攻撃的になる傾向がある」と警戒を呼びかけている。

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