
7日午前、東京都足立区関原三丁目の交番で、警視庁西新井署所属の男性巡査長(32)が倒れているのが発見され、その場で死亡が確認された。警視庁によると、巡査長は頭部から出血しており、近くに自身の貸与拳銃が落ちていたことから、自ら命を絶った可能性が高いとみられている。現場に争った形跡はなく、他者の関与はないとみられる。
発見したのは同じ交番に勤務する同僚警察官で、午前7時半ごろ「同僚が倒れている」と通報があった。警視庁関係者によれば、当時巡査長は通常の夜勤明けの勤務中で、交番内で事務作業を行っていたという。通報を受けた救急隊が駆け付けたが、すでに心肺停止状態であり、その場で死亡が確認された。
巡査長の貸与拳銃には発射痕が確認されており、弾丸は頭部から発見された。交番の防犯カメラには他人の出入りはなく、事件性は低いとみられている。警視庁は、巡査長が自ら拳銃を使用した可能性が高いとみて、動機や勤務状況を詳しく調べている。
警視庁によると、巡査長は勤務態度に問題はなく、周囲の評価も高かったという。一方で、最近は休日出勤や夜勤が続いており、長時間勤務が常態化していたとされる。署内関係者は「責任感が強く、後輩の面倒もよく見ていた。疲れている様子はあったが、まさかという思い」と声を落とした。
全国的に、警察官のメンタルヘルス問題は深刻化している。警察庁の統計によれば、近年は毎年30人前後の現職警察官が自殺しており、その多くが勤務中または勤務直後に発生している。背景には、過重な勤務体制、事件・事故対応の心理的負担、組織内での相談体制の不備などが指摘されている。
特に交番勤務は、地域住民対応、事件処理、巡回警戒など多岐にわたる業務を少人数で担う過酷な環境に置かれており、勤務時間が長引く傾向にある。関係者によると、西新井署管内でもここ数か月、夜間トラブルや通報対応が増加していたという。
今回の件を受け、警視庁は同署の全職員に対して緊急の聞き取り調査を実施し、勤務実態の把握を進めている。また、職員のメンタルケア強化策として臨床心理士によるカウンセリングの実施を検討中。警視庁幹部は「痛ましい出来事であり、再発防止と職員の健康管理に全力を尽くす」とコメントした。
専門家は、警察組織内における心理的支援体制の強化を求めている。元警察幹部で現在は危機管理コンサルタントの男性は「交番勤務は責任が重い一方で、精神的な負担を抱えやすい職場。上司や同僚が互いの変化に気づける環境づくりが急務だ」と指摘する。
地域住民からは「毎朝見かける姿が突然いなくなってしまった」「治安を守ってくれていた方がこんな形で亡くなるなんて」と驚きと悲しみの声が上がっている。
警視庁は、今後司法解剖を行い死因を詳しく調べるとともに、勤務記録や健康診断結果を精査し、過重労働やストレス要因の有無を確認する方針を示した。
再発防止策として、今後は勤務間インターバル制度の拡大や、深夜帯勤務の人数増加なども検討されている。
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