
北海道札幌市中央区の円山動物園で9日午前、ヒグマとみられる足跡が園内の森で複数見つかり、市は来園者と飼育動物の安全確保のため、同日正午から臨時休園とした。市によると、足跡は飼育区域外の自然林エリアで発見され、職員が巡回中に確認したという。クマの姿自体は確認されていないものの、体重100キロ前後の成獣とみられる大きさの足跡が残っており、警戒が強まっている。
現場は園内の北西側に位置し、円山原始林に隣接する区域。札幌市建設局によると、円山周辺は野生動物の通り道になっており、シカやキツネの姿も頻繁に確認されているという。市はヒグマが原始林側から侵入した可能性が高いとみて、園外から園内への出入り経路を特定するため、ドローンや赤外線カメラを使った調査を開始した。
動物園関係者によると、午前10時ごろに職員が園内巡回中、落ち葉の上に大型の足跡を複数発見。周囲には爪跡も確認され、付近の防犯カメラ映像を解析したところ、未明に何らかの大型動物が園外フェンス付近を横切る影が映っていたという。園では直ちに来園者を避難させ、正午の時点で全施設を閉鎖。午後の入園を中止し、臨時休園措置に踏み切った。
市環境局は「現時点で園内にヒグマが留まっている確証はないが、万一を考慮し安全確認が終わるまで閉園を継続する」としている。動物園は11日以降もフェンス点検と侵入防止策を強化する方針で、特に原始林と接する北側エリアでは、センサー式警報装置の増設も検討中だという。
札幌市内では、今年に入ってからクマの出没報告が相次いでいる。札幌市環境局によると、2025年に入ってからの目撃件数はすでに40件を超え、過去5年間で最多水準に達した。秋口以降はエサとなるドングリや山ブドウが不作で、クマが市街地近くまで下りてくるケースが増加。特に住宅地周辺や河川敷、農地などでの目撃が相次ぎ、市民生活への影響が懸念されている。
今回の事案を受け、札幌市は北海道警と協力して円山原始林周辺の巡回を強化。猟友会の協力も得て、足跡が続く区域の安全確認を進めている。札幌市動物管理センターは「冬眠前のヒグマは行動範囲が広く、今後も注意が必要。人の出入りが少ない早朝や夜間の散策を控えてほしい」と市民に呼びかけている。
SNS上でも「円山動物園にクマの足跡」「札幌中心部がもう山と一体化してる」などと投稿が相次ぎ、円山公園一帯に一時的な混乱が広がった。中には「都市と自然の境界が曖昧になっている」として、都市近郊での野生動物管理のあり方を問う声も出ている。
市は安全が確認され次第、早ければ11日にも段階的な再開を検討するが、専門家は「今年は食料不足と気温変動が重なり、冬眠前のクマの行動が不規則化している」と指摘。今後も同様の事案が続く恐れがあるとして、フェンス補強やセンサー監視の恒常化を求める声が強まっている。
札幌市関係者は「野生との共存を掲げてきた円山動物園にとって、今回の出来事は象徴的だ。安全と自然共生の両立が改めて問われている」と語った。
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