Xで「底辺職ランキング」再炎上 社会支える労働者への敬意求める声 格差意識が再び議論に

11月9日、SNS「X(旧Twitter)」上で、2022年にネット上で話題となった「底辺職ランキング」を批判する投稿が再び注目を集め、総エンゲージメントが1万件を超えた。投稿者は、コンビニ店員や介護職員、清掃員、建設作業員などを「底辺職」と分類する風潮に異議を唱え、「誰かが働いてくれるから社会は回る」と訴える内容を投稿。多くのユーザーが共感し、労働の尊厳と職業差別の問題が再び議論の的となっている。

話題の投稿は、匿名掲示板や動画サイトなどで拡散された“職業ランキング”のスクリーンショットを引用し、「これを笑って済ませていい社会ではない」「ランキングの最下位にある職がなければ、私たちは生活できない」と指摘。コンビニや介護、清掃業などを揶揄する表現が以前からSNSで繰り返し共有されていたことに対し、「誰かを見下す構造の延長線上に職業差別がある」として問題提起した。

投稿には「介護現場で働いているが、世間の冷たい目が一番つらい」「家族を支える建設作業員の父を誇りに思う」といった共感のコメントが相次いだ。一方で、「問題は“呼び方”ではなく、実際に低賃金・重労働が放置されていること」との指摘も多く、労働環境改善の必要性を訴える声も少なくない。

厚生労働省の最新データによると、介護職の有効求人倍率は約3.5倍、建設業では約4倍と、依然として高水準の人手不足が続いている。平均給与も全産業平均を下回る傾向が強く、特に若年層の就業希望者が減少していることから、業界全体の持続性が課題となっている。

今回の炎上を契機に、SNS上では「“底辺”という言葉を使う文化そのものが問題」「社会の基盤を支える仕事こそ尊重すべき」といった意見が目立った。特に現場労働やサービス業に従事する人々が自らの仕事を語る投稿が相次ぎ、ハッシュタグ「#労働に敬意を」「#働く人を馬鹿にするな」が一時トレンド入りした。

労働問題に詳しい専門家は、「ネット上のランキングは娯楽的な側面が強いが、そこに社会の無意識的な格差意識が反映されている。問題は、軽いネタの形で再生産される差別構造」と指摘。さらに「介護・保育・清掃・運輸など“人の暮らしを支える職種”が低賃金である現実を直視し、構造的に賃金と待遇を見直す必要がある」としている。

また、SNS上では「“感謝を伝えよう”だけでなく、具体的に賃金や待遇を改善すべき」「道徳より制度の問題」といった冷静な議論も見られ、単なる炎上から社会的提言へと議論が発展している。中には、企業が内部広報で「全職種を尊重する文化」を掲げる取り組みを紹介する投稿もあり、風潮の変化を歓迎する声も上がった。

ネットカルチャーの専門家は、「2020年代以降、SNS上では“笑いのネタ”として労働を軽視する風潮が残っていたが、社会の成熟とともに“働くことの意味”が再定義されつつある」と分析。今回の騒動を通じて、職業そのものの序列化ではなく、労働そのものの尊厳を問う動きが加速すると見られる。

一連の議論は、社会が抱える“労働への無意識な優劣意識”を浮き彫りにした。現場で働く人々が誇りをもって語る投稿が増える一方、職業ごとの待遇格差や人手不足という構造的課題は依然として深い。SNSという公共空間が、改めて「働くことの意味」を問う場となっている。

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