
広島県尾道市立美術館は10日、かつて全国的に人気を博した黒猫「ケンちゃん」が亡くなったと発表した。2017年、同館の特別展を訪れようとしたケンちゃんが、警備員・馬屋原定雄さんに止められながらも果敢に挑む“入館攻防戦”がSNSで拡散され、一匹の猫と一人の警備員の温かな攻防は「尾道の名物」となった。
あの微笑ましい光景から8年。最後に姿を見せたのは2023年4月で、その後は病気療養に専念していたという。館の発表によれば、ケンちゃんは同年9月20日に静かに息を引き取った。美術館は「長年にわたり笑顔とぬくもりを届けてくれたケンちゃんに、心より感謝いたします」と追悼コメントを発表。2026年版カレンダーには、生前のケンちゃんの姿が掲載される。
SNS上では「また美術館に通っているのかな」「天国でも警備員さんと再会してほしい」といった優しい声が寄せられ、全国のファンが哀悼の意を表している。中には、当時の動画を見返して「笑って泣いた」「あの光景に何度も救われた」と投稿する人も少なくない。
ケンちゃんの“攻防戦”は、芸術とユーモア、そして人と動物の間に生まれた小さな奇跡として語り継がれている。尾道市立美術館の前には、今も静かに風が吹き、かつて扉の前に座っていた黒猫の面影を偲ぶ人々が足を止めている。
コメント