
国内化粧品最大手の資生堂(東京都中央区)は10日、2025年12月期の連結最終損益が520億円の赤字に転落する見通しを発表した。従来の黒字予想から一転し、同社として過去最大規模の最終赤字となる見込み。主因は米国事業におけるのれんの減損損失で、約468億円を特別損失として計上する方針を明らかにした。
減損の対象となったのは、資生堂が2019年に約9億ドルで買収したスキンケアブランド「ドランク・エレファント」。近年、米国内のスキンケア市場では新興ブランドの台頭や物価上昇の影響で消費者離れが進み、販売が低迷。ブランドの評価額を見直した結果、大幅な減損処理が避けられなかったという。
資生堂は同日、経営体質の強化に向けて本社および国内子会社で約200人の希望退職者を募集すると発表。これまでの成長投資からコスト削減型の経営へと舵を切り、2026年度以降の収益回復を目指す構造改革を本格化させる。併せて、海外市場の再編や製品ラインの整理も進める方針を示した。
同社はこれまで「スキンビューティーカンパニー」として高価格帯ブランドの拡充を推進してきたが、円安による原材料費高騰や広告宣伝費の増加が利益を圧迫。中国・北米両市場で販売不振が続き、国内事業でも消費者の節約志向に押される形で苦戦が続いている。
SNS上では、資生堂製品の品質やデザイン性を称賛する投稿がある一方で、「価格が上がりすぎて手が届かない」「海外戦略の見直しが必要では」といった意見も目立つ。特にブランド戦略の分散化と経営判断の遅れを指摘する声が相次ぎ、同社の中長期的な方向性に関心が集まっている。
アナリストの間では、「資生堂は世界的な高級ブランド志向を強める一方、米国市場での再建には時間がかかる」との見方が支配的だ。2026年度以降は国内外の収益構造を再構築し、デジタル販売やスキンケア事業の統合によって再成長を狙う構えだが、今回の赤字転落は経営陣にとって大きな転換点となる。
資生堂は声明で「グローバル事業の健全化を最優先課題とし、今後も株主・顧客の信頼に応える経営を続ける」としており、米国事業の減損処理を機に抜本的な再建策を進める見通しだ。
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