
福岡県那珂川市の閑静な住宅街で12日午前、43歳の息子が父親を刃物で刺し死亡させる事件が発生した。警察は殺人の疑いで息子の野口直希容疑者(43)を現行犯逮捕し、動機の解明を急いでいる。被害者は父親の野口三義さん(67)で、事件当時、母親の60代女性も背中にけがをしており、警察が入院先で容体の回復を待って事情を聴いている。
警察によると、事件が起きたのは12日午前10時ごろ。那珂川市内の住宅街の路上で「男性が刃物で刺された」との通報があり、駆け付けた警察官が倒れている三義さんを発見した。三義さんは腹部を深く刺されており、病院に搬送されたが死亡が確認された。現場には血のついた包丁が落ちており、近くにいた直希容疑者をその場で確保したという。
警察の調べに対し、直希容疑者は「父親と口論になり、腹が立って刺した」と供述しているとされる。一方で、近隣住民の話では、以前から家族間で激しい言い争いの声が聞こえていたといい、「最近は特に険悪だった」「母親がよく息子のことで困っている様子だった」との証言もある。警察は事件の背景に長期間の家庭内トラブルがあった可能性が高いとみている。
母親は事件発生時に現場に居合わせ、止めに入った際に背中を刺されたとみられる。警察は母親の負傷が故意によるものか、または争いの中で偶発的に起きたものかを慎重に調べている。現場周辺は一時、規制線が張られ、住民らは騒然とした雰囲気に包まれた。
現場はJR博多南線の博多南駅から約2キロほど離れた住宅地で、近くの小学校では安全確保のため一時的に児童の屋外活動を制限する措置が取られた。事件の知らせを受けた近隣住民は「静かな地域でこんなことが起きるなんて信じられない」「息子さんは普段は挨拶する穏やかな人だった」と驚きを隠せない様子だった。
警察は今後、家庭内での金銭問題や介護をめぐるトラブルがあったかどうかを含め、慎重に動機を調べる方針。事件は近年増加傾向にある「家庭内殺人」の一例として注目されており、専門家からは「孤立した親子関係が悲劇を招く典型」と指摘する声も上がっている。
那珂川署の幹部は「冷静な判断を欠いた突発的な犯行の可能性がある」とし、地域の安心安全に向けた見回りを強化する方針を示した。事件は平穏な住宅地に大きな衝撃を与え、地域住民の間では「家族間で助け合える仕組みを行政が支援すべきだ」との声も聞かれている。
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