
山形県南陽市の市立赤湯小学校で10月29日早朝、校舎の玄関部分のガラスが割られているのを学校職員が確認した。防犯カメラの映像を解析した結果、体長約1メートルのツキノワグマが体当たりしたとみられることが判明した。クマはガラスを破壊後、校舎内には侵入せず、そのまま立ち去ったとされる。児童にけがはなく、発見時刻は登校前だったが、学校は安全確保を最優先に臨時休校の措置をとった。
南陽市内および近隣地域では、同日未明から朝にかけて複数のクマ出没が確認されている。市から約5キロ離れた東海大学山形高校では、クマが深夜に校内敷地へ侵入し物品を荒らす被害が発生。山形県内では今秋以降、餌不足の影響とみられるクマの行動範囲拡大が続き、住宅街や学校、商業施設周辺での目撃情報が急増している。
県警および市職員は、今回赤湯小学校周辺で発見された足跡や痕跡の調査を継続し、接近警告の看板設置やパトロールを強化している。南陽市は、自治会を通じて「早朝・夕方の不要な外出を避ける」「生ごみの屋外放置を控える」「熊鈴やライトの携行」など注意事項を住民に通知。市総合防災課は「人身被害防止のため、見かけても近づかず通報してほしい」と呼びかけている。
環境省の推計によると、東北地方のツキノワグマ生息数は近年増加傾向にある一方、山間部のドングリなどの自然餌の不作が指摘されている。山形県では10月だけで少なくとも20件以上の出没・侵入通報があり、農業被害と並んで学校周辺の安全対策が課題となっている。
今後の対応として、南陽市教育委員会は市内各学校に対し、以下の対策徹底を通知した。
● 始業前の校舎周辺巡回の強化
● 校内防犯カメラの増設検討
● 緊急時に児童を安全な校舎へ誘導する訓練の実施
● 保護者との連携による集団登下校の推奨
また、県自然保護課は専門員を派遣し、侵入経路の特定と追い払い対策の助言を行う。必要に応じ、クマ捕獲の許可申請も判断する方針だが、「できる限り人とクマの接触を避ける管理が求められる」と慎重な姿勢を示している。
近隣に住む住民からは、「子どもが通う学校なので不安」「早朝にゴミを出せなくなった」との声があがる一方、「自然の中で暮らしている以上、共生への工夫が必要」との意見も聞かれる。
警察と市は引き続き警戒を呼びかけ、周辺住民に不測の事態が起きないよう安全対策を強化している。
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