
米国のドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席は10月30日、両国首脳会談を行い、中国からの合成オピオイド「フェンタニル」の密輸対策を条件に、米国が中国製品に課している追加関税の一部引き下げについて協議した。会談は経済分野を中心に意見が交わされ、米中関係改善に向けた具体的な動きとなる可能性が注目されている。
現在、米国は中国製品に対し最大20%の追加関税を適用しているが、今回の協議ではこの税率を最大10%まで引き下げる案が検討されている。米国側は、国内で深刻化しているフェンタニル乱用問題への対応を重視し、中国政府に対し前駆体物質の輸出管理強化を求めている。中国国内の業者による違法供給を抑制する仕組みの確立が協議の焦点とみられる。
実現した場合、中国製品の平均関税は約45%から低下するとされ、サプライチェーンへの負担軽減と両国間貿易の活性化が期待される。米国企業の一部は関税措置の継続によりコスト増が続いており、関税引き下げは経済界からも歓迎される見通しだ。一方、米国内では対中強硬姿勢を緩めることに対する懸念も根強く、安全保障と経済政策の両立が課題となる。
フェンタニルは少量で致死性を持つ薬物として知られ、米国では年間数万人規模の死亡例が報告される深刻な社会問題となっている。米政府は流通経路の遮断を急務としており、中国側の取り締まり強化が実効的に機能するかが焦点となる。
今回の首脳会談では、関税問題以外にも供給網(サプライチェーン)協力、地域安全保障、人的交流など幅広い議題が取り上げられたとされる。ただし具体的な合意内容の詳細は公表されておらず、今後の実務協議の行方が注視されている。
米中関係は長期間にわたり貿易摩擦を抱えてきたが、双方は経済安定化に向けて一定の協調姿勢を示した形だ。実際の関税引き下げが実施されるには、議会承認など複数の手続きが必要であり、短期的に政策が転換されるかは不透明な面も残る。
両国は今後も高官級協議を継続する方針で、経済と安全保障をめぐる議論がさらに進むことが想定される。今回の交渉が両国関係改善の転機となるのか、フェンタニル対策の実効性とともに今後の動向が注目される。
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