政府、保険料滞納の外国人に在留資格変更・更新を原則認めず 社会保険未納対策を強化へ

日本政府は、2027年6月から国民年金および国民健康保険の保険料を滞納している外国人について、在留資格の変更や更新を原則として認めない方針を固めた。これは、外国人による社会保険未納問題の深刻化を受けた対応で、厚生労働省および出入国在留管理庁(入管庁)が共同で制度設計を進めている。

■ 背景:外国人の保険料未納が拡大

厚生労働省の最新統計によると、2024年度時点で外国人の国民年金納付率は49.7%、国民健康保険の納付率は約63%にとどまっている。これは日本人の納付率に比べて大幅に低い水準であり、滞納によって発生した医療費や行政負担が年間で数百億円規模にのぼるとされる。

特に、留学生や技能実習生などの中長期在留者の一部が、保険料の支払いを行わないまま在留期間を延長したり、帰国するケースが報告されており、行政コストや制度の公平性に関する懸念が高まっていた。

政府関係者によると、「日本人納税者が最終的に負担する構造になっており、国民の理解を得にくい状況だ」として、制度改正の必要性が指摘されていたという。

■ 制度改正の骨子

今回の方針では、外国人が在留資格を変更・更新する際、年金や健康保険の納付記録を確認する新たな審査手続きを導入する。

具体的には、申請時に過去の保険料納付状況を証明する書類を提出させ、未納が確認された場合は原則として許可しない。ただし、経済的困窮や不可抗力の事情が認められる場合には、例外的に更新を認めるとされる。

システム上の運用には、自治体の保険料情報と入管庁の在留管理システムを連携させる必要があり、2026年度中の改修を目指す。改修完了後、2027年6月から全国で適用を開始する予定だという。

■ 経済的弱者や短期滞在者は対象外

厚労省と法務省は、今回の措置の対象を「中長期在留者」に限定する方針を示している。短期滞在ビザや観光ビザなどの一時滞在者、また経済的困窮を証明できる者については、社会的影響を考慮して対象外とする見込みだ。

また、外国人技能実習制度や特定技能制度のもとで就労している外国人については、受け入れ企業や監理団体が保険料を負担している場合も多いため、運用の線引きについては今後さらに調整が行われる見通しである。

■ 政府の狙いと制度的課題

政府はこの制度を、「社会保険制度の信頼性を高めるための措置」と位置づけている。一方で、外国人労働者の受け入れ拡大を進める中で、過度な規制が人材確保に悪影響を与える懸念も指摘されている。

専門家の一部は、「滞納者の背景には雇用不安定や低賃金があり、単に罰則的に扱うだけでは根本的な解決にはならない」と指摘。労働環境の整備や社会保険制度の理解促進を並行して行う必要性が強調されている。

一方、政府関係者は「制度の形骸化を防ぐため、まずは実効性ある仕組みを構築することが重要」として、まずは実務運用の確立を優先する方針を示した。

■ 今後のスケジュール

制度改正の詳細は、2026年度中に国会で関連法改正として提出される予定。関係省庁による調整は来年度前半から本格化する見込みで、入管法および国民年金法・健康保険法の運用基準改定が焦点となる。

厚労省は「制度運用を通じて、保険料の納付率を大幅に引き上げることを目指す」と説明しているが、外国人支援団体からは「生活困窮者を締め出す結果になりかねない」と懸念の声も上がっている。

■ 社会全体の課題として

今回の政府方針は、社会保障と移民政策が密接に絡み合う日本の新たな課題を浮き彫りにした。少子高齢化の中で外国人労働力への依存が高まる一方、社会保険制度の負担をどう公平に分担するかが問われている。

政策の実施までには2年半の猶予があるが、制度設計の透明性や運用の柔軟性が確保されなければ、外国人との共生政策全体に影響する可能性もある。

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