
原材料高騰と物流コスト上昇が直撃、消費者にはさらなる負担
飲料大手サントリースピリッツは11月4日、原材料価格の高騰および輸送コストの上昇を理由に、2026年4月1日出荷分からウイスキーを中心とする39銘柄・187品目の価格を引き上げると発表した。値上げ幅は2%から最大20%に及ぶ見通しで、対象には「響」「山崎」「白州」などの主力ブランドが含まれる。
同社によると、今回の値上げはウイスキー原酒の長期熟成に伴う生産コストの上昇や、原材料である穀物・エネルギー資源の国際価格高騰、さらに物流費・人件費の増加が重なったことが主因とされる。具体的には「響 JAPANESE HARMONY」(700ml)の税抜価格が現行の7,500円から8,000円へと引き上げられる。国内市場での価格改定は2022年以来およそ4年ぶりとなる。
日本のウイスキー市場は、ここ数年で国際的な評価が高まり、海外輸出が急増している。サントリーの「山崎」「白州」シリーズは欧米やアジア市場でも人気が高く、特に原酒不足による供給制限が続くなかで、国内外の需要が拡大している。その一方で、原料価格や円安の影響を受けた生産コストの上昇が企業経営を圧迫しており、今回の値上げは“やむを得ない対応”とみられる。
SNS上では、「また値上げか」「好きな銘柄が手に入りにくくなる」といった消費者の落胆の声が多く見られる。特に「白州」や「山崎」はすでに品薄傾向が続いており、転売価格の高騰が懸念されている。ある酒販店関係者は「今回の発表でさらに需要が先取りされ、在庫確保の動きが強まる可能性がある」と指摘する。
一方で、サントリーは「品質の維持と持続的なブランド価値の確立のためには適正な価格設定が不可欠」と説明。原酒の生産量を中長期的に拡充する計画も示しており、山崎蒸溜所や白州蒸溜所の設備増強を進めているという。
酒類業界では近年、国内の嗜好変化や若年層の“酒離れ”も進んでおり、今回の値上げが消費動向に与える影響は小さくない。小売業界では「プレミアムウイスキーが一層高嶺の花になる」との懸念が広がっている。
経済アナリストは、「高級酒ブランドの値上げはグローバル市場では一般的な戦略だが、日本の所得水準や消費マインドを考えると、家庭向け市場の縮小が加速するリスクがある」と分析する。
今回の改定は2026年4月1日出荷分から実施される予定で、対象商品や具体的な新価格は今後サントリーの公式サイトで順次公表される見込みだ。
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