
スマートフォンゲーム市場で名を馳せたコロプラが、大きな節目を迎えようとしている。同社は、主力であるモバイルゲーム事業の収益悪化が続く中、26歳以上の正社員を対象とした希望退職制度を導入すると正式に発表した。募集人数は約70人。特別退職金や転職支援プログラムが提供され、退職日は2026年1月末とされる。
一時代のスマホゲームブームを象徴する存在として知られるコロプラは、かつて巨大IP「白猫プロジェクト」などのヒットにより急成長を遂げた。しかし足元では、国内外の競争激化、ゲーム制作費の高騰、運営モデルの高度化などが押し寄せ、かつての成功モデルのままでは生き残れない局面にある。
同社の2025年9月期決算では、売上高は前年同期比で微減。加えて、モバイルゲーム事業の損失が響き、最終損益は約3億円の赤字に転じた。会社側は説明資料の中で「競争環境の激化と開発費負担」を指摘し、今後の成長に向けた事業再構築が不可欠との見解を示した。
今回の希望退職制度は、単なる人員整理ではない。企業が抱える固定費削減という現実的な側面と同時に、新たな事業機会に資源を再配置する意図が読み取れる。同社は近年、メタバース関連技術や新規デジタルサービスへの取り組みも進めており、「ゲーム一本足打法」からの転換を模索している状況だ。
スマホゲーム産業は、黎明期の“運と発想力の勝負”という空気から、いまや長寿IP運営、開発規模の拡大、広告投資力、国際展開など総合力が試される舞台へと変わった。資本力と継続投資を武器にする大手企業が優位に立ち、後発や中堅は「ヒット一本では生き残れない」業界構造が鮮明になっている。
かつてスマートフォンにインストールされ、指先一つで楽しませてくれたゲームたち。その裏には、時代の波に揺さぶられる開発会社の試行錯誤がある。希望退職というニュースは一見冷たい響きを持つが、業界全体が転換点に立っている今、コロプラもまた変革の選択を迫られた企業といえる。
約70人の社員が新たな道を歩むことになる。退職する人々には、次のステージで培った経験が生かされることを願う声も多い。一方で、企業の側は「選択と集中」を進め、未来に向けた新しいゲーム体験やデジタルサービスを創造できるかが問われる。
市場は成熟し、成長の方程式は変わった。だが、ゲームが人を楽しませるという本質は変わらない。時代の荒波の中で、コロプラは再び航路を描こうとしている。
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