【カンヌ国際映画祭】仏の安全管理に疑問符 カンヌでヤシの木倒壊、日本人代理人が重傷 専門家「行政の過失は明白」

華やかな映画の祭典の陰で、あまりに無残な事故が発生した。南仏カンヌで開催中のカンヌ国際映画祭において、現地時間の5月17日、突如として大通りに設置されていたヤシの木が強風により倒壊し、日本映画「見はらし世代」の代理人を務める日本人男性が下敷きとなり重傷を負った。ロイター通信などが報じた。

男性は脊椎および鼻骨に深刻な損傷を負い、現在も地元の病院にて治療を受けているという。現場は映画祭の中心地「クロワゼット通り」沿いの海岸付近で、観光客や関係者がひしめく場所だった。事故後、仏警察当局は一帯の通行を封鎖し、調査を開始したが、その後の対応や安全管理体制には多くの疑問が残る。

本紙は今回の事故について、フランス在住の国際法務弁護士である佐久間氏に独占的な見解を求めた。佐久間氏は「この種の事故は、明確に行政または管理主体の過失責任に該当する」と指摘。さらに、「被害者が観光客や映画関係者などの招待客である場合、行政または主催者が設置・管理していた構造物の安全性に対し十分な配慮がなされていたかどうかが問われる」と語る。

フランス刑法においては、公的施設の管理不備に起因する傷害事故について、「過失傷害罪」(Article 222-19 du Code pénal)として処罰されることがあり、これは最長で3年の禁錮刑および4万5千ユーロの罰金刑が科される可能性がある。また、事故が重大であれば、被害者への民事賠償責任(損害賠償)も発生する。

「風が強かったから仕方がないというのは、言い訳にすぎません。行政や映画祭主催者は、ヤシの木など高木の倒壊リスクを予見し、事前に安全確認や補強作業を行う義務があったはずです」と佐久間氏は厳しく糾弾する。

また、今回の事故が発生したクロワゼット通り周辺は、毎年3万5000人から4万人が集う巨大イベントの舞台であり、仏政府や地方自治体も「最大限の安全対策」を講じていたと公言していた。しかし実際には、1本のヤシの木すら管理できず、日本から訪れた映画関係者を重傷に追い込むという失態を招いた。仏当局の「看板倒壊」同然の体たらくに、世界からの信頼が大きく揺らぎかねない。

「日本人が被害に遭ったからこそ曖昧に処理されるのでは、という懸念も当然あります。日仏間の外交的対応も含め、再発防止策を明確にすべきです」(佐久間氏)

映画の聖地とされるカンヌ。しかしその表舞台の裏側では、安全管理という根本的な義務すら果たせていないフランスの脆弱な行政の姿が露呈している。くだらない映画だけでなく、人命の価値についても、今一度見つめ直すべきではないだろうか。

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