明治期創業の老舗高級中華料理店「聘珍樓(へいちんろう)」が事業を停止し、会社清算の手続きに入る。株式会社聘珍樓(本社:横浜市港北区新横浜2丁目、資本金5000万円、代表:林衛氏ほか1名)は5月20日、全事業を停止したうえで今後の清算手続きを進める旨を社内外に掲示した。負債総額は約29億4900万円にのぼる。帝国データバンクが21日に報じた。
1884年(明治17年)に横浜中華街で創業した旧・株式会社聘珍樓(2016年に平川物産へ商号変更、2017年に特別清算)を源流とする同社は、日本最古の中国料理店としてその名を全国に知られていた。旧会社は2007年3月期には売上高約108億円を記録したが、慢性的な高コスト体質と景気後退による法人需要の落ち込みにより経営は悪化。2016年には香港の投資ファンドの支援を受け、全事業を新設法人の現・株式会社聘珍樓に譲渡する再建スキームが採られていた。
新会社は「聘珍樓」のブランドを維持したまま、東京都(日比谷・吉祥寺)や大阪市、北九州市での4店舗に加え、中華ファストフード業態「SARIO」や、百貨店内での食品販売、ECによる通販事業など多角的な運営を行っていた。だが、再建の矢先を襲った新型コロナウイルス感染拡大により、来店客数は激減。2020年3月期には売上高約57億円に対し6億円超の赤字を計上するなど、打撃は深刻だった。
さらに、関連法人であった株式会社聘珍樓(別法人、企業コード:672023525)が運営していた「横濱本店」が2022年6月に破産手続開始決定を受けたこともあり、関係各所の警戒感が強まっていた。
■5期連続赤字で資金繰り限界に
最新の2024年3月期では売上高約46億6600万円、最終赤字約1億7700万円を計上し、5期連続の赤字で債務超過に陥っていた。近年の年商は40億円台にまで落ち込み、老舗ブランドの維持もままならず、資金繰りが急速に悪化。結果として、今回の事業停止および清算方針に至ったとみられる。
倒産時点での負債総額は約29億4900万円。今後の債権処理や資産整理は清算手続きの中で進められる見通しだ。
■「ブランドの終焉」に惜しむ声も
横浜中華街を象徴する存在であり、来賓接待や慶事などで長年親しまれてきた「聘珍樓」の事業停止は、地域経済や飲食業界にも大きな衝撃を与えている。SNSなどでは「子どもの頃に連れて行ってもらった思い出の味だった」「日本の中華の顔が消えるのは残念」といった声も相次いでおり、名門ブランドの終焉を惜しむ声は後を絶たない。
コメント