2024年11月17日午後、編集部に一通のメールが届いた。「渋谷区のITおよび自動車用品販売関連業を営むR社から脅されている」という内容だった。送信者は横浜市在住のWさん(19歳・大学生・女性)。編集部が詳細を尋ねると、SNSのダイレクトメッセージ(DM)のスクリーンショットが送られてきた。そこにはR社代表のO氏(25歳)が「投稿を削除しない場合、法的措置を取る」と高圧的な文章を記していた
両者の主張が食い違う
Wさんの説明によると、経緯はこうだ。2024年11月10日、WさんがO氏に別れ話を切り出したが、O氏は拒否。その後、O氏の執拗な連絡に恐怖を感じたWさんがSNSで二人のLINEのやりとりを投稿。それに対し、O氏から投稿削除を求めるDMが届いたという。
一方、O氏の主張は真逆だ。O氏は「別れ話を切り出したのは自分だ」としたうえで、「8月末にWさんの激昂で警察沙汰になり、それを機に関係を完全に断った。しかし11月初旬、Wさんによる中傷メールが会社宛に届くようになり、その中にあったSNSのリンクを確認したところ、自分を貶めるような投稿がされていたため、DMで削除を求めた」と語る。
さらに、O氏が提供したDMのスクリーンショットには、Wさんのものより長文のメッセージが記録されており、送信時刻やアカウント情報は一致していた。この事実により、Wさんの主張の正確性に疑問が生じている。
法的・民事的な問題点
今回のトラブルは、SNSを介した言論と名誉毀損の境界線を問う事案だ。日本の名誉毀損法では、他人の社会的評価を低下させる行為が問われるが、正当な批判である場合は違法性が阻却される可能性がある。一方、投稿内容が一方的な主張や誇張に基づくものであり、誤解を招いた場合、発信者側が責任を負う可能性もある。
また、O氏が求めた投稿削除は正当な権利行使である一方、その要求が「脅迫」に該当するかどうかは文面次第だ。高圧的な表現が相手に恐怖を与えた場合、脅迫罪の要件を満たす可能性もあるが、今回の事案では法的措置を仄めかした内容であり、現時点では違法性が高いとは断定できない。
さらに、民事上の名誉毀損や不法行為に基づく損害賠償請求の可能性がある一方で、Wさんが主張した内容が事実無根である場合、逆にO氏側が損害賠償を請求する立場に立つ可能性も考えられる。
記者としての見解
取材の過程で、WさんとO氏の主張が大きく食い違っている点は否めない。ただ、O氏が提供した証拠の信憑性が高いことから、現時点ではO氏の主張に軍配が上がるように見える。一方で、Wさんの投稿が削除されていないことや、彼女が求められた証拠の提供を怠っている点は問題視されるべきだろう。
12月8日現在、両者の主張は平行線をたどっている。O氏は「投稿が削除されれば法的措置は取らない」と寛容な姿勢を見せているが、Wさん側からの対応はまだ見られない。
今回の事案は、SNS時代のトラブルの典型例といえる。感情に任せた投稿がどのようなリスクを伴うか、多くの人が学ぶべき教訓がここにある。今後、両者が話し合いを重ね、平穏に解決することを願うばかりだ。 #渋谷区 #トラブル #ビジネス