呉市音戸町で船解体現場火災 650人に避難指示、約70戸断水

広島県呉市音戸町渡子の船舶解体現場で5月14日午後、大規模な火災が発生した。廃船や廃材が燃え、港に係留されていた船にも延焼したとみられる。呉市は周辺の356世帯650人に避難指示を出し、消火活動の影響で一部地域では断水も発生している。

火災があったのは、呉市音戸町渡子にある中本船舶工業の敷地内。消防と警察によると、14日午後0時50分ごろ、現場付近から火災の通報が相次いだ。

現場は船の解体作業を行う場所で、敷地内には廃船や廃材が置かれていた。火は屋外の廃材などに広がり、港側に係留されていた船にも燃え移ったとみられる。周辺では爆発音のような音が聞こえたとの情報もあり、近隣住民からは「風向き次第で火が近づくのではないか」と不安の声も上がった。

消防は消防車両を多数出動させ、海上保安庁の船艇も加わって陸側と海側から消火活動を続けた。現場周辺では焦げた臭いが漂い、焼けた船体や廃材の一部からは熱気が残る状況が続いたとみられる。14日夜時点でも消火活動は続き、鎮火の見通しは立っていない。

呉市は同日午後5時30分、火災による延焼のおそれなどを考慮し、音戸町渡子地区の一部に避難指示を発令した。対象は渡子1丁目から3丁目の一部で、合わせて356世帯650人。住民は避難所などへ移動し、安全確保を進めた。

消火活動に伴い、水道にも影響が出ている。消火栓からの放水で水圧が低下し、音戸町田原1丁目から3丁目の一部で断水が発生した。影響は約70戸に及び、市は給水拠点を設けて対応している。復旧の見通しは明らかになっていない。

14日夕方時点で、けが人の情報は確認されていない。会社の従業員や付近の住民は避難しているという。

船舶解体現場では、金属くずのほか、木材、樹脂、塗料、配線、油分を含む部材が混在する場合がある。火災が起きると、燃え広がり方が複雑になり、消火に時間がかかることがある。

警察と消防は、火の勢いが収まったあと、出火場所や燃え広がった経路を詳しく調べる。解体作業中の火花、船体内部に残った燃料や油分、廃材の保管状態、可燃物の管理に問題がなかったかなどが今後の焦点となる。

現場は港湾部に面しているため、係留船や周辺事業所への影響も確認が必要になる。海上への燃焼物や油分の流出がないかについても、関係機関が調べるとみられる。

呉市は避難指示の対象地域で住民の安全確認を進め、断水が発生している地域では給水対応を続けている。警察、消防、海上保安庁は夜を通して消火活動を継続し、鎮火後に出火原因を調べる方針。

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