いじめ認知件数は初の1万件超 犯罪行為にあたる暴力・恐喝・名誉毀損などは学校内で抱え込ませず
岡山県教育委員会は5月21日、学校でのいじめ対応をまとめた**「岡山県いじめ問題対策基本方針」**を改訂し、犯罪行為にあたる悪質ないじめについて、警察への相談や通報を積極的に行う方針を盛り込む考えを示した。
改訂案では、いじめ対策を未然防止、早期発見、対応、再発防止の4段階に整理する。学校や教育委員会が各段階で何を行うべきかを明確にし、現場ごとの判断に差が出にくい形にする狙いがある。
新方針は、早ければ6月にも公表される見通し。
今回の改訂で大きな柱となるのは、犯罪行為に該当するいじめを学校内だけで処理しないという点だ。
暴力、恐喝、金品の要求、脅迫、名誉毀損、器物損壊、性的な嫌がらせなど、刑事事件として扱われる可能性がある行為については、学校が教育的指導だけで済ませず、警察への相談・通報を積極的に行う。
これまで学校現場では、いじめが「子ども同士のトラブル」として扱われ、被害を受けた児童生徒や保護者が納得できないまま終わるケースが全国で問題になってきた。
今回の改訂は、そうした対応を改め、被害を受けた児童生徒を守るため、警察、児童相談所、教育委員会などの関係機関と早い段階でつなぐ内容になる。
背景にあるのは、岡山県内でのいじめ認知件数の増加だ。
2024年度、岡山県内の小中高校などで確認されたいじめの認知件数は1万94件に上った。前年度から1,832件増となり、初めて1万件を超えた。
心身や財産に重大な被害が生じた疑いがある**「重大事態」**も、24校で29件確認され、学校数・件数ともに過去最多となっている。
いじめの認知件数が増えたことについて、県教委は、学校側がいじめを積極的に認知するようになったことも背景にあるとみている。
一方で、重大事態の件数も過去最多となっている以上、単に「認知が進んだ」と説明するだけでは済まない。早く見つけた後に、どのように止めるのか。被害を受けた児童生徒をどう守るのか。加害行為が犯罪にあたる場合、いつ警察へつなぐのか。そこが次の焦点になる。
県教委は昨年12月にも、国の方針や生徒指導に関する国の手引き改訂を踏まえ、県の基本方針を見直す考えを示していた。
今回、警察への相談・通報を明確に盛り込むことで、学校が判断を先送りしにくい内容にする。
学校現場では、いじめを把握した教職員が一人で抱え込むことが問題になりやすい。担任、学年主任、生徒指導担当、管理職、教育委員会への報告が遅れれば、被害児童生徒の安全確保も遅れる。
改訂後は、いじめを発見した段階で、学校内のいじめ対策組織に速やかに報告し、必要に応じて警察や児童相談所などへつなぐ流れを徹底することが求められる。
とくに、暴力や恐喝のように被害が目に見えやすい事案だけでなく、SNS上での誹謗中傷、画像の拡散、金銭要求、性的な画像の要求など、学校だけでは対応しきれない事案も増えている。
被害児童生徒が不登校になった後や、保護者が外部へ訴えた後に初めて問題が大きく扱われる流れを避けるには、学校側が早い段階で「これは教育指導だけで済む話ではない」と判断できる仕組みが必要になる。
今回の改訂は、いじめをすべて刑事事件として扱うという意味ではない。
ただし、犯罪行為にあたる可能性がある場合は、学校の中だけで終わらせず、警察への相談や通報を選択肢として明確にする。ここが今回の方針見直しの中心になる。
被害を受けた児童生徒や保護者から見れば、「学校が対応している」と言われても、実際には加害行為が止まらない、説明がない、調査が進まないという不信感につながることがある。
県教委が新方針を公表した後は、各学校がどこまで現場で運用できるかが問われる。
文書を改訂するだけでは足りない。学校長、担任、生徒指導担当、スクールカウンセラー、教育委員会が、同じ判断基準で動けるか。警察に相談するべき事案を、学校の評判や保護者対応を理由に先送りしないか。
岡山県内でいじめ認知件数と重大事態がともに過去最多となる中、今回の改訂は、学校のいじめ対応を「校内指導中心」から「外部機関との連携前提」へ進めるものになる。
早ければ6月に示される新方針では、どのような行為を警察相談・通報の対象とするのか、学校がどの時点で教育委員会へ報告するのか、被害児童生徒と保護者への説明をどう行うのかが注目される。
編集部まとめ
岡山県教育委員会は、学校のいじめ対応をまとめた「岡山県いじめ問題対策基本方針」を改訂し、犯罪行為にあたる悪質ないじめについて、警察への相談・通報を積極的に行う方針を盛り込む考えを示しました。岡山県内の2024年度いじめ認知件数は1万94件となり、初めて1万件を超えました。重大事態も24校29件で過去最多です。新方針は、早ければ6月にも公表される見通しで、学校がいじめを校内だけで抱え込まず、警察や児童相談所などと連携できるかが焦点になります。
強い雨


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