水産練製品や惣菜を手がける株式会社紀文食品(東証プライム上場、証券コード2933)は5月15日、2025年3月期の通期決算について、前回予想と実績値との間に差異が生じたと発表した。売上高は1089億1200万円となり、当初見込んでいた1109億5100万円を約20億円下回った。営業利益は45億1300万円、経常利益は41億9100万円、純利益は25億8700万円にとどまり、親会社株主に帰属する当期純利益としては当初予想の28億5500万円から約2億6700万円減少、9.4%の未達となった。1株当たり純利益も113円36銭と、前回予想の125円06銭を大きく下回る結果となった。
業績未達の要因について、同社は春夏期の高温により国内食品事業の販売が低調に推移したことに加え、競合企業との価格競争が激化したことを挙げた。さらに、北米を中心とした海外市場では各国経済の減速が続き、現地法人を含む海外食品事業の売上も振るわなかったという。こうした需要環境の悪化により、売上の落ち込みが利益面にも波及し、営業段階から計画比でマイナスとなった。加えて、法人実効税率の改定を受けた税金費用の増加が最終利益を圧迫し、純利益での乖離が生じた形だ。
もっとも、同社は株主還元姿勢に変わりはないとして、期末配当については従前予想通り1株当たり20円を実施する方針を示している。減益にもかかわらず配当を維持することで、安定した資本政策への取り組みをアピールした格好だ。
また、今回の決算においては、在外子会社などの収益および費用について、従来の決算日直物為替相場による換算から、期中平均為替相場による換算方式に変更がなされている。これにより、前連結会計年度の数値にも遡及適用が行われており、比較可能性のある形で今期の実績が示された。
前期との比較では、売上高は1065億1600万円から2.2%増加したが、営業利益や純利益は逆に減少し、業績の安定性には課題を残した。特に純利益は前期の28億2800万円から25億8700万円へと減少し、1株当たり純利益も123円92銭から113円36銭に低下した。来期以降、同社が国内外の需要回復と収益力の再強化をどこまで図れるかが注目される。
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