大阪・十三駅前で飲食店主らが窮地 家賃3倍の通達と火災被害が重なり経営継続に不安の声

大阪市淀川区の阪急十三駅前で、再開発計画に伴う土地の転売をきっかけに、複数の飲食店経営者らが家賃を従来の約3倍に引き上げるという通達を受け、経営の継続が危ぶまれている。加えて、近隣では火災による被害も発生しており、地域の商業活動に深刻な影響が及んでいる。

十三駅前の商店街は、古くから飲食店や小規模なバーが立ち並び、地域住民や観光客でにぎわう繁華街として知られている。だが近年、駅周辺の再開発が進み、土地の所有者や管理会社が変わるケースが相次いでいる。今回問題となっているのは、土地の売却を経て新たな所有者から届いた「賃料3倍」の通知で、これにより一部の店舗では月数十万円単位の負担増となる。

飲食店主の一人は「これまでの売り上げでは到底支払えない金額。長年続けてきた店をたたまざるを得ないかもしれない」と苦しい胸の内を語った。別の店舗経営者からも「地域の店が一斉に閉店することになれば、街の活気そのものが失われる」と不安の声が上がっている。

さらに、再開発のさなかにあたるエリアでは、10月上旬に発生した火災で複数の建物が被害を受けた。出火原因は調査中だが、老朽化した建物が密集している地域特有の火災リスクが改めて浮き彫りになった。火災で営業が困難となった店舗もあり、家賃上昇の通達と相まって、経営基盤の弱い個人店には大きな打撃となっている。

地元の商店会関係者によると、「火災による修繕費用を抱えながら家賃も上がるとなれば、商売を続けられない店が相次ぐ可能性がある」との見通しが示されている。商店会では、市や区に対して支援や調整の要請を検討しているという。

再開発を進める事業者側は、「土地の有効活用を目的として賃料を見直した」と説明している。法的には新しい契約条件を提示することに問題はないが、地域に根差した小規模店舗が多数存在するこのエリアでは、実質的に退去を迫られる事態となるケースもある。

地元住民からは、「長年通ってきた店が次々と閉まるのは寂しい」「大きな商業施設ばかりが並ぶ街にはなってほしくない」との声が寄せられている。十三駅周辺は昔ながらの人情味ある飲食街として親しまれてきただけに、街の急激な変化に戸惑う人も多い。

SNS上でも「再開発の裏で個人経営者が苦しんでいる」「地域の文化が消えてしまう」といった投稿が相次いでいる一方、「老朽化が進む地区を放置できない」「安全面を考えれば再開発は必要」との意見も見られ、賛否が分かれている。

大阪市淀川区役所は「現時点で正式な相談や救済申請は受けていないが、事実関係を確認したうえで関係機関と情報を共有していく」としている。市の担当者は「火災被害を受けた店舗については支援策の対象となる可能性があるため、個別に相談してほしい」と呼びかけている。

十三エリアの再開発は今後も段階的に進む予定で、鉄道高架下や駅前ビル周辺なども対象に含まれる見込み。地域経済の再生を目指す取り組みと、個人事業者の生活基盤維持という二つの課題が、今まさに交差している。

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