北海道知事脅迫事件 栃木県の地方公務員男性を脅迫容疑で書類送検

北海道の鈴木直道知事に対する脅迫事件で、栃木県那須塩原市に住む地方公務員の男性(37)が脅迫の疑いで書類送検されたことが分かった。北海道警が22日までに発表した。男性は北海道庁の問い合わせフォームを通じて、鈴木知事を脅す内容のメッセージを送信した疑いが持たれている。

■ 「ぶち殺すぞ売国奴知事」などの文言を送信

捜査関係者によると、男性は2025年7月19日ごろ、北海道庁の公式ウェブサイトに設けられた問い合わせフォームを利用し、「ぶち殺すぞ売国奴知事」などの脅迫的な内容を送信したとされる。

道庁職員が内容を確認後、ただちに警察へ通報。北海道警は発信元の通信履歴などを特定し、那須塩原市内の男性を容疑者として浮上させた。

取り調べに対し、男性は投稿を認めているという。北海道警は、発言に至った経緯や背後関係について慎重に捜査を進めている。

■ 道政への不満が背景か

関係者によると、男性は鈴木知事が進めてきた「外国人による土地取得規制」に関する政策運用に強い不満を抱いていたとみられる。

北海道では、外国資本による森林や土地の買収が相次いだことから、2023年に道独自の土地取引監視条例が改正された。だが、規制の適用範囲や実効性をめぐり賛否が分かれ、一部の保守系団体などから「政府や道が外国勢力に甘い」との批判も上がっていた。

北海道警は、こうした政治的・社会的な不満が今回の脅迫行為に影響した可能性があるとみて動機を分析している。

■ 鈴木知事「暴力や脅しは絶対に許されない」

事件を受け、鈴木直道知事は21日、記者団の取材に応じ、「いかなる理由があっても、暴力や脅しによって意見を表明することは許されない。民主主義の根幹を損なう行為だ」と強調した。

その上で、「私たちは道民の命と暮らしを守るため、冷静かつ法に則って政策を進めていく」と述べ、今後も安全確保を最優先に業務を続ける姿勢を示した。

道庁では今回の事件を受け、職員に対する脅迫・誹謗中傷への対応を強化。問い合わせフォームやメールでの投稿内容をAIで自動検知し、暴力的表現を含むメッセージは即時に通報できる体制を整備する方針を明らかにした。

■ 脅迫罪とは

刑法222条によると、脅迫罪は「生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知して人を脅す」行為を指す。刑罰は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」とされている。

SNSやメールを介した脅迫行為が近年増加しており、特に政治家や公務員への暴言・脅迫が社会問題化している。

警察庁のまとめによると、2024年の全国における脅迫事件の摘発件数は前年比約15%増。中でも行政機関へのメールやSNS経由の脅迫が目立ち、全体の約3割を占めている。

■ ネット上の暴力に歯止めを

専門家は今回の事件について、「公的機関に対する攻撃的メッセージが増える中、表現の自由との線引きが重要だ」と指摘する。

北海道大学の法学者・西村和明准教授は、「政治への意見表明は民主主義社会において当然認められるべきだが、暴力的表現や脅迫に及ぶと犯罪になる。個人が感情的に投稿する前に、社会的責任を意識する教育が必要」と話している。

■ 今後の対応

北海道警は、男性を脅迫容疑で札幌地方検察庁に書類送検し、動機や経緯についてさらに調べる方針。

道庁関係者は「鈴木知事をはじめ、職員の安全を守るための対策を早急に講じたい」としている。

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