高市政権、「新しい資本主義」実現会議を廃止 日本成長戦略会議を新設へ 経済政策の方向性を転換

高市早苗首相の新政権は、岸田文雄前首相が設置した「新しい資本主義実現会議」を廃止し、新たに「日本成長戦略会議」を発足させる方針を正式に示した。成長戦略会議では、AIや半導体といった先端分野への危機管理投資を重点に据え、経済競争力の強化を主要課題とする。内閣府関係者によると、具体的な議論を年内に本格始動させ、2026年度以降の成長政策に反映させる見通しだという。

「新しい資本主義実現会議」は、賃上げ促進と分配強化を掲げた岸田前政権の象徴的政策を議論してきた。しかし、高市政権は「国際競争の激化に対応するためには、成長なくして賃上げなし」との立場を強調しており、政策の軸足を分配から成長へ移す姿勢が明確になった。政府関係者は「民間投資を呼び込む環境整備を最優先とする」と説明している。

また、エネルギー安全保障、量子技術、防衛産業の強化といった国家安全保障と経済政策を統合的に扱う構想も打ち出されている。特に半導体については、国内生産拠点の拡充とサプライチェーン強靭化を継続課題とし、台湾や米国との連携を視野にした支援策を継続検討していく。これらの分野では既に補正予算で大型支援が盛り込まれており、新会議が司令塔の役割を担う。

一方、物価高が続く中で家計支援策をどの程度維持していくかも焦点となる。岸田政権下で実施されたガソリン補助や定額減税については、効果検証を踏まえた見直し議論が始まっている。政府内では「持続可能な賃上げにつなげる政策体系の再構築」が必要との認識が広がっている。

この政策転換に対し、経済界はおおむね歓迎の姿勢を示している。経団連幹部は「企業の投資意欲を高める方向性」と評価した。一方で労働団体は「賃上げの議論が後退する懸念」を指摘しており、今後の政策運営に注視が必要とされる。

国会では、野党側が「生活者支援を軽視している」と追及する可能性もある。立憲民主党関係者は、賃金上昇が追いつかない現状に触れながら「国民生活の安定なくして成長なし」と批判している。高市首相は「給料の上がる国を取り戻す」と掲げており、分配政策の維持とのバランスが問われる。

オンライン上でも議論が活発化している。SNS「X」では、「政策の方向性が明確になった」と評価する意見がある一方、「賃上げ停滞への不安」「国民負担増への警戒」など、慎重な見方も多い。特に物価高が長期化する中で、家計への具体的な支援策が不足しているとの指摘が続いている。

今後、政府は2025年内に中期経済計画を策定し、新会議が中心となって成長戦略の工程表を示す予定だ。産業界、労働界、専門家らを広く巻き込み、中長期的な経済成長と国民生活の安定を両立できるかが成功の鍵となる。国際情勢が不透明さを増す中、日本経済の体質転換を図る新政権の取り組みが注目されている。

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