
長野県長野市の繁華街で26日夜、商業施設が入る5階建てビルの一部を焼く火災が発生した。黒い煙が屋上付近から立ち上る様子が確認され、現場周辺には一時、騒然とした空気が広がった。消防によると、1階部分に入る焼き肉店の排気ダクト付近が出火元とみられており、煙が建物内に充満した。
消防は複数の部隊を出動させ消火に当たり、建物内にいた利用客や近隣住民の避難誘導を実施。建物内にいた80代の男性と70代の女性が煙を吸い込み、それぞれ市内の病院へ搬送された。2人とも意識はあり、命に別条はないという。現在のところ、他にけが人は確認されていない。
このビルは飲食店などが複数入居しており、夜間の利用客も多かったとみられる。出火当時、現場周辺は通行人や車両で混雑する時間帯で、消防が安全確保のため道路一帯を規制。交通の流れが大幅に制限され、一時、市街地の渋滞も発生した。規制は火の勢いが弱まった後も継続され、通行者へ注意が呼びかけられている。
出火原因について、消防は排気ダクト内に溜まった油脂に引火した可能性があるとみて調査を進めている。焼き肉店などでは油煙を大量に扱うケースが多く、定期的な清掃が行われないと危険性が高まることが指摘されている。長野市消防局の担当者は、「今回は大きな延焼には至らなかったが、火事の危険はどの店舗にもあり、管理者には改めて安全対策の徹底をお願いしたい」と注意喚起した。
現場では午後10時を過ぎても消火と後片付けが続けられ、消防隊員がダクト内部の残り火の確認作業を繰り返した。近隣住民からは「焦げ臭いにおいが漂っていた」「煙が見えて驚いた」との声が聞かれ、店舗関係者からは営業再開の見通しを不安視する意見も出ている。
長野市中心部では、飲食店が密集する地域特有の火災リスクが懸念されている。過去にも排気設備が原因とみられる火災が複数発生しており、専門家は「老朽化した設備が多い地区では特に注意が必要」と指摘している。
消防は引き続き火災原因の詳しい特定と、ビル管理者側への安全指導を進める方針。市当局も関係部署と連携し、夜の繁華街での火災防止対策を強化するとしている。
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