
北海道積丹町でクマの出没が相次ぐ中、町の副議長と地元猟友会の間で発生したトラブルが原因で、猟友会による出動が1カ月以上停止していることが明らかになった。町民の間では「安全対策が滞っている」と不安の声が広がっている。
問題の発端は9月27日、町議会副議長・海田一時氏(74)の自宅裏で体重284キロの大型ヒグマが捕獲された際の出来事だった。現場で駆除作業にあたっていた猟友会メンバーと海田氏の間で口論が発生し、以降、猟友会が「謝罪がない限り出動できない」として出動を見合わせているという。
地元関係者によると、猟友会側は「現場で副議長から暴言を受けた」と主張しており、一方の海田氏は発言の一部を否定し「そのような意図はなかった」と説明している。双方の主張は平行線をたどっており、町としても仲介を試みているが、関係修復には至っていない。
出動停止以降、積丹町内では小学校周辺などでもクマの目撃情報が相次いでおり、10月中旬には小学校が臨時休校となる事態も発生。町民からは「行政と猟友会の対立で住民の安全が脅かされている」との批判が上がっている。
積丹町では例年、クマの出没件数が多く、2024年も秋以降にヒグマの活動が活発化。町内ではすでに10件以上の出没報告があり、町民の生活圏にも接近している。特に9月下旬には、海田副議長の自宅裏で捕獲された大型個体が話題となり、「これまでにない規模のヒグマが町に近づいている」として注意が呼びかけられていた。
しかし、今回のトラブルにより、駆除対応の中心を担ってきた猟友会が事実上の活動停止状態となり、町は他地域の猟友会への支援要請を検討している。町担当者は「安全確保が最優先。早期に協力体制を整えたい」とコメントしている。
一方で、海田氏は地元メディアの取材に対し、「私の発言で誤解を生じたとすれば申し訳ないが、謝罪の意図は既に伝えている。町民の安全を最優先に考えている」と話した。猟友会側は「明確な謝罪が確認できるまで出動は難しい」としており、膠着状態が続いている。
北海道庁はこの状況を受けて、近隣自治体と連携しながら緊急対応体制の強化を検討しており、専門職員の派遣も視野に入れている。クマの活動期が続く11月以降、再び被害が出る恐れがあり、住民の間では「早く正常な体制に戻してほしい」との声が相次いでいる。
町内のある住民は「人間同士の対立でクマ対策が止まるなんて本末転倒だ」と憤る。積丹町にとって、猟友会との関係修復は喫緊の課題となっている。
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