
埼玉県三郷市の市議会議員・関根和也氏(45)が、市役所職員に対して「犯罪者」「恥を知れ」などと怒鳴りつけ、業務を妨害したとして、埼玉県警が関根氏を地方公務員法違反(業務妨害)容疑で書類送検したことが7日、捜査関係者への取材で分かった。市議会は9月、同氏に対する辞職勧告決議案を可決しており、今回の書類送検で政治倫理をめぐる議論がさらに広がる可能性がある。
関係者によると、関根氏は2024年末から2025年にかけて、市役所庁舎内や議会控室などで職員に対して度々大声を上げ、「不正を隠している」「お前たちは市民の敵だ」などと発言。周囲に居合わせた複数の職員が業務を中断し、心理的ストレスを訴えていたという。県警は行為が職員の通常業務を妨げたと判断し、10月下旬までに書類送検を行った。
関根氏は市政不正の追及を目的とした正当な活動であると主張しており、SNS上でも「不正を許すな」と題した投稿を繰り返していた。問題視されたのは、市職員の実名や顔写真を無断で掲載した投稿で、一部には誹謗中傷とみられる内容が含まれていたとされる。投稿は拡散され、市内外の利用者から「事実関係を確かめずに職員を晒すのは不適切だ」との批判が相次いだ。
市議会は2025年9月、市議会本会議で「議員としての品位を著しく欠く行為」として辞職勧告決議案を可決。賛成多数で可決されたものの、辞職に法的拘束力はなく、関根氏は議員の職にとどまっている。関根氏は議会終了後の取材に「市民からの相談を受け、行政の透明化を求める正当な監視活動を行ったにすぎない。発言の一部は誤解されている」と述べた。
一方、市役所幹部は「関根議員が指摘した『市政不正』にあたる具体的な事実は確認されていない。事務処理は法令に基づいて行われている」と説明。庁内では「過激な抗議で職員が精神的に追い詰められた」との声が出ており、職員のメンタルケア対応も始まっているという。市側は法務担当を通じてSNS上の無断掲載について法的措置を検討中とされる。
地域社会では今回の件が波紋を広げている。市民の間では「議員が職員を怒鳴る構図は見たくない」「正しい主張でも方法を誤れば信頼を失う」といった声が聞かれる一方、「行政の説明責任が不十分だから議員が声を上げざるを得なかった」と擁護する意見もある。
X(旧Twitter)では「三郷市議」や「職員晒し」が一時トレンド入りし、市政の透明性と議員倫理の両立を問う論争が続いている。
政治評論家の一人は、「地方議員による不適切言動は全国的にも増加傾向にある。市政への不満やSNS拡散文化の影響で、議員が“内部告発者”のような立場を取ることもあるが、正当な追及とハラスメントの境界を誤るケースが多い」と指摘する。実際、総務省の調査によると、2024年度に全国で懲罰や辞職勧告を受けた地方議員は過去最多を更新しており、その多くがSNS発言や職員への威圧行為に関するものだった。
三郷市議会は今後、議員行動規範の改訂を検討しており、SNSの使用ガイドライン制定も協議している。市議会関係者は「発信の自由は尊重しつつ、職員や市民を不当に攻撃することがないよう均衡を取る必要がある」と話す。
市政運営を巡る議論は続いており、関根氏の去就や捜査の行方が今後の焦点となる見通しだ。
曇りがち


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